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日本の世界遺産

富士山の世界遺産化に地元反対 「五湖観光の妨げに」

2006年11月20日13時49分

 「遺産」か「生活」か。富士五湖周辺が揺れている。富士山の世界文化遺産登録を目指す動きで、山梨県が富士五湖を登録地域に含めたいと地元町村に示したところ、住民側から猛反発が起きている。「湖周辺の法規制が強まり、観光ビジネスに差し障るのではないか」との不安が広がっている。

 反発しているのは河口湖、西湖、精進湖、本栖湖の四湖がある富士河口湖町の観光業者ら。人口約2万6000人の同町には年間約900万人の観光客が訪れる。もたらす消費効果は1000億円近くといわれる観光の町だ。

 県はこれまで、登録エリアの中核地域は、主に五合目以上や登山道と説明してきた。ところが今月に入り、文化庁へ提出する素案にある「文化財」に五湖が含まれるとわかり、一挙に不安が広がった。

 中核地域になるには文化財保護法に基づく指定が必要。五湖はすでに、国立公園として建物の新改築制限など自然公園法の規制がある。「文化財としての新たな規制が加わるのではないか」。動揺する住民らを前に県は緊急地元説明会を開き、「今まで以上の規制強化はない」と説明したが、地元は収まらない。

 「富士山と心中しろというのか」。湖畔のある旅館経営者は憤りを隠せない。観光協会役員は「県の説明は当てにならない。我々は『遺産』ではなく、生きている湖で経済活動をしている」。

 文化庁記念物課は「富士五湖は現在、環境省の自然公園法の規制下にある。将来、仮に文化財保護法での規制がかかったとしても、今以上に厳しくなるかどうか、何とも言えない」とする。

 小佐野常夫町長や議長らは6日、県に乗り込み、素案からの削除を要請。すると県は「地元の反対がある以上、無理やり載せる考えはない」と方針を転換した。山中湖を抱える山中湖村でも、県の急な打診に反発の声が多く、県は五湖を削除した。

 観光や世界遺産に詳しい淡野明彦・奈良教育大副学長(地理学)は「文化遺産としてとらえるなら、富士山だけでなく、文化的景観として富士五湖も一体で考えるのが妥当だ。今後、観光地は観光収入だけでなく環境保護にも相当な覚悟を持たないと生き残れない。ただ、地元が反発しているようでは世界遺産登録の前途は多難だ」とみる。

     ◇

 〈富士山の世界文化遺産登録を目指す運動〉 当初は自然遺産での登録を目指したが、03年にごみやし尿の問題などで国内候補地の選定から漏れた。後に富士山信仰の歴史などを踏まえて文化遺産での登録を目指す方針に転換、山梨、静岡両県などが推進する。両県は今月10日、国からユネスコへ年明けに提出する国内候補地「暫定リスト」への登載を文化庁に申請。登載されれば、10年ころの登録を目指すことになる。

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