1月に経営破綻(はたん)した日本航空が求めている債権放棄(借金の棒引き)などの金融支援をめぐり、日航側と主要取引銀行の交渉が決着する見通しになり、日航の更生計画がまとまることになった。計画の柱は総額約5200億円の債権放棄と3500億円の公的資金注入。日航と管財人の企業再生支援機構はこの計画を8月末に東京地裁に提出し、経営再建を本格化したい考えだ。
日航はリーマン・ショック後の業績悪化や、燃費の悪いジャンボ機など不良資産を多く抱えたことにより、今年3月末時点で約9500億円の債務超過に陥った。債権放棄や公的資金を原資とした支援機構の出資で早期に債務超過を解消する必要があり、銀行団と交渉を重ねてきた。
日航と支援機構は今月1日、日本政策投資銀行やメガバンクに対し、債権の90%を放棄するよう要請した。これに対し銀行側は、経営破綻の際に運航継続のために燃料代などの一般商取引債権は全額保護されたことから、「金融機関だけ負担が重すぎる」と不満を表明していた。
このため日航側は22日までに、債権放棄の割合を87.5%に引き下げ、銀行側の負担を約200億円軽くする譲歩案を提示。これを受けて銀行側も大筋で受け入れる見通しとなった。
各銀行は8月下旬をめどに金融支援への同意を機関決定する見通し。日航と支援機構は11月までに裁判所の認可を得て、2011年3月期に債務超過を解消したい考え。