イラクで武装集団に拘束、解放された北海道千歳市出身の高遠菜穂子さん(34)の著作「愛してるって、どう言うの?」が注目を集めている。世界各国を回った体験をつづった、いわば行動の原点。出版元の文芸社(東京都)には注文が殺到し、「持ち込み原稿の出版」としては異例の3万部の増刷が決まった。
00年9月から01年11月にかけ、高遠さんがインドやタイ、ネパールなどを回った際の旅日記をまとめた。各地でのボランティア体験は「イラクで薬物中毒のストリートチルドレンを支援していた」(妹の井上綾子さん)今につながっている。
同社は02年7月に初版1000部を刊行後、これまでに3刷、総計2000部を出していた。8日に人質事件が明らかになって以来、高遠さん自身のサイトで紹介されていることもあり、本は一躍注目を浴びた。
12、13両日はファクスだけで計約1万部の注文があり、持ち込み原稿の「協力出版」中心の同社としては「短期間で経験のない量」(経営企画室)の注文が殺到しているという。
同社は12日に4刷1万5000部、2日後の14日にさらに5刷1万5000部の増刷を決めた。経営企画室は「無事解放され、安堵(あんど)している。高遠さんの行動には賛否両論あるが、行動の原点になる本なので、興味を引いているのだろう」と話している。
(04/17 14:03)
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