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【自衛隊イラク派遣】
 
情報乱れ政府迷走、「米軍頼み」に限界 イラク人質事件

 イラク人質事件で、米軍から「香田証生さんと身体の特徴が似ている」と伝えられた遺体は、一見して日本人とは違うことが分かる別人だった。政府は断定は避けつつも、「香田さんにほぼ間違いない」(関係者)とみて30日未明、家族にもこの情報を伝えていた。混乱の原因は「最初に現場にいた米軍の関係者の情報が不正確だったため」(町村外相)というが、イラクの治安が悪化する中で、事件への対応を米軍に依存せざるをえない日本政府の限界があらわになった。

●連絡が不十分?

 「これは日本人ではない。香田さんではない」

 30日正午(日本時間)、クウェート。在クウェート大使館の堀田圭一医務官は米軍が搬送してきた遺体を見た瞬間、そう確信した。服装がアラブ風で、あごひげがあり、頭髪はなかった。年齢は50歳前後とみられ、24歳の香田さんの特徴とは明らかに異なっていた。

 武装グループによる香田さん人質事件が発覚した後、政府はイラクに駐留する米軍に対し、香田さんの身長、体重のほか後頭部に3センチ大の髪の毛が生えていない部分があるなどの特徴を伝えていた。

 米軍が「バラドで発見した遺体は、香田さんと身体の特徴が一致する部分がある」と在イラク大使館に連絡してきたのは30日未明。その一報は大使館から直ちに外務省やアンマンの現地本部などに伝えられた。

 外務省はこの情報を小泉首相に報告するとともに、家族にも伝えた。首相官邸には細田官房長官らが次々と集まってこの情報を検討。高島肇久外務報道官が午前4時、「身長、体重、後頭部の特徴などいくつかの点を勘案し、香田さんの可能性があると米軍が判断した」と発表した。

 しかし、その内容を日本側が現地で検証することはできなかった。

 遺体が発見された地域は、治安が極度に悪化している「スンニ派三角地帯」にあり、昨年11月に奥克彦・在英大使館参事官らが殺害された現場に近い。イラク人スタッフも含め大使館職員を現地に派遣することは「危険すぎ、無理だ」(外務省筋)として断念した。日米間のやりとりも「限られた通信手段の中での連絡だった」(高島外務報道官)という。

 町村外相は30日夕、「米側との連絡に落ち度はなかったのか」と問う記者団に「それはない」と否定したが、なぜこうしたミスが起きたかについては「なんでそこでそういう齟齬(そご)が生じたかはちょっとわからない」と語った。

●多い不明点

 一方、遺体について米軍がどのような情報を入手し、どう判断したかには不明な点が多い。

 「ティクリートで遺体があったのは聞いているが……。バラド? 初耳だ」

 香田さんとみられる遺体が「米軍によってバラドで見つかった」と日本政府が発表した後の30日未明、バラド地区を管轄する米軍の広報担当者は、朝日新聞の取材にこう語った。バラドでは該当するような遺体は発見されておらず、遺体を運んだ形跡もなかったという。

 ティクリートはバラドの北西約60キロに位置する都市。米軍によると、29日午後4時半ごろ、ティクリート総合病院に収容されていたアジア人の男性の遺体を米第1歩兵師団の兵士が発見した。しばらく遺体安置所で保管されていたが、別の場所に運ばれたという。この地区を管轄する米軍のビル・コパノル広報担当は30日、「移送先やその後の処置状況は把握していない。これ以上の情報はない」と語った。

 米軍は日本政府からどのような要請を受けていたのか、香田さんの身体的特徴を遺体を見つけた米軍関係者はどのようにつかんでいたのか……。同広報担当は「業務は山のようにある。遺体の詳細な情報を取り扱う立場にもない。理解して欲しい」と話した。

●思い込み

 首相は30日夕、政府関係者に「外務省はもっと確認をしっかりしろ」と怒りをぶつけた。

 米軍情報を十分検証できないまま、なぜ政府は同日未明に家族や与党幹部に伝え、記者会見に踏み切ったのか。

 一つは、米軍が伝えてきた身体的特徴に「後頭部の毛が生えていない部分」が含まれていたからだ。その情報によって政府関係者らは「香田さんの後頭部の特徴は、結構珍しいものだからほぼ間違いない」(外務省幹部)と受け止めた。「米軍が言うのだから間違いない」(別の幹部)という思い込みもあった。

 同日早朝、自民党の久間章生総務会長は党本部で記者団に「外務省から電話をもらった。『本人に間違いないだろう』ということだった」と語っている。

 加えて、未明に政府要人が首相官邸などに集まれば人目に触れるため、「黙っているわけにはいかない」(官邸筋)という事情もあった。

 身長、体重、後頭部の特徴――。米軍からはそれ以外の情報は届いておらず、政府内からは「記者会見で『(特徴が)似ているようだ』と言ったのは、ちょっと踏み込みすぎだったかもしれない」との声も出ている。

 あまりの情報の落差に与党内でも困惑が広がっている。自民党幹部は「政府が、遺体について香田さんの可能性があると公表するのは待つべきだった」。公明党幹部は「首相官邸が混乱している。腰を落ち着けて事実関係をよく精査して事態に臨んでほしい」(幹部)と注文をつけた。

 政府の対応が混乱する中で、香田さんの行方は依然、わからない。

(10/31 00:03)


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