ブッシュ米大統領が再選されたことで、自衛隊のイラク派遣は12月14日の期限を超えて延長される方向がいっそう強くなった。ブッシュ大統領との信頼関係を世論の支持と並ぶ「最大の後ろ盾」としてきた小泉政権は、今後も良好な対米関係の維持を基盤にイラク政策などを進める考えだ。
イラク派遣について、政府・与党は現地の治安情勢と、米大統領選の結果を大きな要素とみていた。自衛隊派遣を高く評価するブッシュ大統領の再選によって、政府は治安情勢が極端に悪化しなければ、12月3日に臨時国会が閉会した後、派遣延長のための基本計画を閣議決定するとみられる。
再選について、政府・与党内からは「首相にとってはやりやすい。自民党非主流派も攻めづらくなる」(公明党幹部)と安堵(あんど)の声が漏れており、小泉政権の基盤維持には追い風になりそうだ。
自民党の武部勤幹事長は「テロと敢然と戦う『強い大統領』に対する信任だ。首相とブッシュ大統領との固い信頼関係をベースに『世界の中の日米同盟』の考え方に立って、力をあわせて取り組んでいくべきだ」との談話を発表した。
ただ、これまでブッシュ政権がイラク戦争などで単独行動主義の色合いを強めてきた点については、与党からも国際協調を求める声が上がっている。神崎公明党代表は談話の中で「これまで以上に国際社会と協調しての取り組みを期待したい」と注文をつけた。
一方、民主党の岡田代表は「率直に米国政権と語り合う成熟した関係の構築に取り組んでいく」と対米追従ではない関係構築を主張。仙谷由人政調会長は「帝国路線から脱却し、国際社会における法の支配のもと、リーダーシップを発揮してほしい」と朝日新聞記者に語った。
(11/04 11:09)
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