3邦人拘束ドキュメント(6〜10日)
6日20:30ごろ アンマンで高遠菜穂子さん、郡山総一郎さん、今井紀明さんの3人に、フリー記者集団「アジアプレス」の古居みずえさんが出会う。3人はそろって食事に出かけるところ。高遠さんが古居さんに「(バグダッドまで)まっすぐ行くと危ないので、回り道をする。13時間ぐらいかかると思う」
7日04:00ごろ 3人がバグダッドに向けて、アンマンのホテルをタクシーで出発するのをフロント係が見送る。車は5人乗りの車で、イラク人男性の運転。高遠さんは三つの荷物を積み込んだ
8日18:20ごろ 外務省にアルジャジーラから事件の第一報
 18:30ごろ 朝日新聞外報部にアルジャジーラから電話。日本語で「カタールのアルジャジーラだ。朝日の関係者が捕まった。そのテープが送られてきたので30分後に放送する」。
 19:00 官邸に対策室を設置
 19:00ごろ 朝日新聞社への2回目の通話で、アルジャジーラは「サラヤ・ムジャヒディンというグループがイラクで日本人3人を捕まえたテープを送ってきた。『放送から3日間してから、自衛隊がイラクから出るか、あるいはキッドナップ(誘拐)のオペレーションを続けるかだ』とのメッセージがある」。
 19:50 札幌市の今井紀明さんの自宅に外務省から電話。「拘束された模様だ」と伝えられる。母親の直子さんは「行かせなければよかった」。
 20:00前 北海道千歳市の高遠菜穂子さんの実家に外務省から連絡。妹の井上綾子さんは「どうか無事でいてほしい」。
 20:30 アルジャジーラが3人の誘拐を放送
 20:58 小泉首相が東京・東五反田の仮公邸に到着。記者団が「日本人3人が拘束されたが」「どう対応するか」と質問した。首相は手を振りながら無言で入る
 21:00 自民党幹部が記者団に対し「外務省から電話で報告を受けた。今の段階では自衛隊の撤退は問題外だ」。
 21:30ごろ 自民、公明両党の幹部が自民党本部に続々と集結。公明党の神崎代表は「まずは事実関係の把握だ。こういうこともありうるんだな」、冬柴幹事長は「よく相談してからだ」。4階の総裁室に入る
22:20 福田官房長官が会見。「強い憤りを覚える」「自衛隊が撤退する理由はない」
 23:00 川口外相が会見。「再発防止のために、プレス関係者を含む邦人に、可能な限り早急にイラク国外に退避するよう、強く勧告する」」
 23:00 民主党の鳩山前代表は「3人の命を失ったら大変な事態だ。まずは自衛隊を撤退させるべきだ。救出する方法があるならいいが、ない以上は仕方がない」
 23:30 自民党の久間幹事長代理は東京・高輪の議員宿舎で、自衛隊撤退要求について「そんなことはできっこない。そんなのハイハイと言ったら世界の物笑いになる」。
9日06:55 外務省の阿部副大臣が外務省オペレーションルームに。「犯人とのコンタクトはないし、できない。金の話もない。交渉という段階ではないが、(自衛隊の撤退については)たぶん交渉の余地はない」
07:40 イラク派遣の主力である陸自第2師団の司令部(北海道旭川市)で幹部が「犯人は撤退を求めているようだが、我々は政府の決定に従うしかない」
11:00すぎ 高遠菜穂子さんの父睦雄さんが、北海道千歳市の自宅前で会見。政府の方針について「どんな方法で3人を戻すというのか、全く見えない。小泉さんは、命がかかっているのだから、木で鼻をくくったような言い方でなく、何が一番良いか考えてほしい」。
11:35 小泉首相がテレビカメラの前で記者団に対し、事件発生から初めて発言。「無事救出に全力をあげる。いろいろ緊密に連携し、事実確認をして、しかるべき国に協力を求め、日本でできることは最大限する」。自衛隊撤退について問われると「ありませんね」
12:00 イラク戦争反対を訴えてきた「ワールド・ピース・ナウ」などが国会周辺で反対集会。
14:30 家族と支援者ら9人が会見。「なぜ、自衛隊撤退を選択肢から外したのか」
15:00 東京株式市場は、人質事件が日本の景気に与える悪影響を懸念してほぼ全面安。日経平均株価は4日ぶりに1万2千円台を割り、終値は前日比で195円08銭安い1万1897円51銭だった
17:00 大阪弁護士会が記者会見し、自衛隊の撤退を求める会長声明を発表。東京弁護士会も同様の声明を発表
17:30 家族が公明党の冬柴幹事長と面会。「(人質の)命は首相の手の中にある」と、首相への口添えを要請
19:30 外務省から家族らに電話。「犯行グループと接触する方策を模索している」「首相との面会は調整がついていない」
20:05 家族らが2回目の会見。今井紀明さんの兄洋介さんは「情報が入ってこない。時間が減って焦ってしまうが、絶望しないようにしたい」
10日04:55 米政府が邦人3人の拘束場所の特定に積極的に関与し、安全確保を最優先させるために日本政府と協力すると表明、とAFP通信
08:30 逢沢外務副大臣がアンマン着。現地対策本部立ち上げ
09:45 外務省の対策会議終了。川口外相は「あらゆることを考えて努力しています。出来る限りの方策をとっています」
11:40 家族7人が記者会見。小泉首相が面会を拒んだことを明らかにする
11:50 民主党の菅代表が長野県松本市の党県連大会であいさつ。「どうしても納得できないのは、小泉首相が(3人の人質の)家族に会おうとしないことだ。小泉政治は冷たい政治だ」
12:35 自民党の安倍幹事長が福岡市で街頭演説。「日本は人質さえとれば言うことを聞くとなると、海外にいる日本人すべてがターゲットになる。テロリストの要求に屈しないことが、結果として多くの日本人の命を守ることにつながる」
15:55 カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」が家族を取材。午後、欧米メディアの家族取材相次ぐ
16:05 メールで声をかけあった首都圏の高校生約20人が東京・渋谷のハチ公前に集合。自衛隊撤退について街頭アンケートをしながら、同世代の人たちと議論
17:10 家族が新聞6社の共同インタビューに応じる
19:30 今井紀明さんの友人たちが家族を訪ねた後、記者に「外務省に6千人弱の署名を届けた。一刻も早く救助してほしい」
時刻は日本時間