「長州8人目の宰相」 「格別な思い」地元の喜びと期待
2006年09月21日01時00分
「父、晋太郎先生も寸前で果たせなかった。今回の喜びは格別なものがある」。新総裁誕生後、山口市内で記者会見した自民党山口県連会長の河野博行県議(77)はこう思いを語った。
 安倍晋三氏の総裁選勝利の報を受け、地元ではちょうちん行列で新総裁誕生を祝った=20日午後3時27分、山口県長門市で
|
安倍氏の地元・山口県では伊藤博文以来、「8人目の宰相」が視界に入ってきた。首相を迎えるのは34年ぶり。河野会長は72年に辞めた佐藤栄作・元首相の後援会幹部を務めた。県議8期の今期限りでの引退を表明しているが今回、中国・四国8県を訪ね、安倍氏支援を訴えた。
「岸信介、佐藤栄作両氏と続いた時代に山口は大きく発展した。首相が途絶えてから山口県は勢いがなくなった」と語る。
□ □
山口市の湯田温泉。ホテル「喜良久(きらく)」のロビーには今も、県出身7人の首相の肖像画がある。佐藤・元首相の支援者だった先代社長が県外からの観光客に「県民の誇り」をアピールしようと画家に依頼したものだ。
その肖像画の中でも岸、佐藤の「兄弟宰相」は県東部の田布施町の名誉町民だ。安倍氏自身も父方の祖父は長門市出身の安倍寛・元衆院議員だが、母方の祖父は岸・元首相。同町の寺田幹生町長(74)は「安倍さんは(岸・佐藤兄弟の)2人につながり、喜びと期待は大きい。町民の誇りにもなる」と語る。
山口県は、元民主党代表の菅直人衆院議員や、日本共産党の宮本顕治・元議長らの大物政治家が輩出してきた土地柄でもある。
中選挙区時代、岸・佐藤兄弟も競い合い、県政界は「岸」「佐藤」両派に色分けされた時代が長く、続いた。自民党県連幹部は「今回の総裁選では安倍氏が岸元首相の孫であり、『長州8人目』の期待を背負いながら病に倒れた晋太郎氏の無念もあり、県連を中心に一枚岩となった」と語る。
□ □
しかし、田布施町でさえ今年4月現在、町の借金にあたる起債残高は81億7000万円。今年度当初予算は49億5000万円で、予算規模の1.5倍以上の赤字を抱え込み、町は隣接市などとの合併に活路を見いだそうとしているのが現状だ。
田布施町出身の県議で自民党山口県連の吉井利行副会長(58)は安倍氏に小泉路線の軌道修正を期待する。小泉政権の下で「都会と地方の格差が広がったのは間違いない」とした上で、「安倍さんには本当の地方分権を進めてほしい」と語る。
この記事の関連情報
|