視聴率取れぬ総裁選 論争も役者も不足?
2006年09月10日13時35分
盛り上がりにかける今回の自民党総裁選。ワイドショーなどテレビ各局の数字をみても確かに01年春の小泉政権誕生時との差は明らかだ。だが話は、結果が見えているゆえの人気不足といった表面的な問題にとどまらない。候補者個人の魅力の低さ、政策論争の低調ぶり……。10月の衆院補選をにらんで小泉劇場の再来を狙った自民党にすれば、これまでのところその基本の力に疑問符がつきかねない展開だ。ドラマがないならないなりにどう国民を引きつけるのか、本番はこれからだ。
安倍官房長官を推すある森派のベテラン議員が総裁選告示の8日夜、こう嘆いた。「結果がわかっているんだから盛り上がらないよ。メディアで総裁選を盛り上げるためには、ドラマが必要なんだがなあ。何かいい案はないか」
確かに数字はそうだ。TBSの番組「ブロードキャスター」の『お父さんのためのワイドショー講座ランキング』によると、01年の告示直前は、民放各局の総裁選関連の総放送時間が小泉首相の立候補の動きを中心に2位につけた。だが、今回の同時期はベスト10に入らず、8月中も第1週の6位と第4週の10位だけだった。
視聴率も同様だ。テレビ朝日の「やじうまワイド」(第2部)のケース。小泉首相と故橋本龍太郎元首相が立候補に意欲を示した直後の01年4月9日の視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。だが今回は、安倍氏の立候補表明を報じた今月1日で4.7%にとどまった。
ワイドショーだけではない。01年の告示日の4月11日と、今回の告示直前の今月1日を比べると、「NNNきょうの出来事」(日本テレビ)が9.6%と6.3%、テレビ朝日の「ニュースステーション」(現・報道ステーション)も15.9%と10.9%。01年はともに前4週間の平均視聴率をかなり上回ったが、今回「報道ステーション」は前4週平均を大きく下回った。
なぜ視聴率をとれないのか。芸能リポーター梨元勝さんは、小泉首相と安倍氏ら今回の候補との「魅力」の差にあるという。「小泉さんは首相という公人であることのほか、生身の人間としてのサブ情報があふれていた。安倍氏は、育ちが良くてイケメンという以外に茶の間に訴える、刺激する情報が少ない。要は人間味の問題です」
●「まだ小泉」回顧番組
20日の総裁選直前の18日に小泉首相を主人公にした番組まで現れる。
訪朝や田中真紀子外相更迭、郵政解散などを中心にした日本テレビのドキュメントドラマで、岩城滉一さんが小泉首相を演じる。
なぜまだ「小泉」か。小林景一プロデューサーは「小泉さんと比べ、安倍さんは長くしゃべってもスタンスが明確でなく、何を伝えればいいのかわからない」という。
早くから安倍氏を支持してきた若手議員は「総裁選を『物事をはっきりさせる若手』対『何でもあいまいにするベテラン』の対決構図にすることで、ドラマ性を持たせようと狙っていたのだが」と話す。それもベテラン勢が一気に安倍氏支持に回る雪崩現象で不発に終わった。
昨秋郵政解散での党のメディア戦略を担い、今は安倍陣営で戦略を練る世耕弘成参院議員は「01年時は景気も財政も悪く国民は『日本はどうなるのだろう』と不安を感じていた。今は経済も順調で、国民の政治への渇望感が薄い」と分析。ただ後半戦に向け、「候補者各自が政策論争を展開するなかで、安倍政権ができたらこんな感じになるという理解を深めてもらうしかない」とも話す。
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