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日本列島を梅雨前線が覆った日(2003年6月17日午前9時)の衛星画像=気象庁提供 |
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同じ2003年6月17日午前9時の天気図=気象庁提供 |
「今年も梅雨の季節が到来!」と聞いて喜ぶ人はどれくらいいるのでしょう。
「じめじめしてうっとうしい」「レジャーの計画が立てられない」「洗濯物が乾かない」など、何かとマイナスイメージも多く、歓迎されないのが「梅雨」です。でも、これが雨が降らない「空梅雨」ともなると、農作物が育たなかったり、水不足になったりと、我々の生活にも大きな影響を与えることになります。
そんな生活に密着した「梅雨」ですが、意外と知らないことも多いものです。
例えば……
(1)なぜ日本には「梅雨」があるの?
(2)「梅雨入り」「梅雨明け」はどういう基準で発表されるの?
(3)「梅雨」の発表はいつから始まった?
といった疑問に、あなたは答えられますか。
アサヒコム「梅雨特集」の最初のテーマは「梅雨って何?」。知っているようで知らない「梅雨」について、おさらいしてみることにします。
◇ ◇
知っているようで意外と知らない「梅雨」。その正体を探るところから始めます。ご協力をいただいたのは気象庁・天気相談所の日野修所長です。
――そもそも「梅雨」って何なのですか。
梅雨とは、春から夏に季節が移り変わる時、日本、中国、韓国など東アジアの地域に見られる雨の季節のことです。
――えっ! 梅雨って日本以外でもあるんですか?
梅雨の原因となる「梅雨前線」は中国や韓国にも延びており、同じような気象現象を引き起こします。ちなみに「梅雨」は中国では「Mei-yu」、韓国では「Changma」と呼ばれているんですよ。(漢字での表記は「Mei-yu」は「梅雨(黴雨)」、「Changma」は「長魔」)
――どうして梅雨はあるのですか。また、どうして梅雨の時期になると雨が降り続くのでしょう。
梅雨の時期は、日本付近に梅雨前線が停滞します。梅雨前線の東側では、北に「オホーツク海高気圧」、南に「太平洋高気圧」があり、北からは冷たく湿った空気が、南からは暖かく湿った空気が梅雨前線に向かって吹き込んでいます。
また西側では、北側に中国大陸などで作られた乾燥した空気が、南からは東側と同じように太平洋高気圧などから暖かく湿った空気が流れ込んでいます。梅雨前線付近では、この集まった空気が上昇し、雲や雨を作り出しています。
また、梅雨の時期は、北と南の高気圧の勢力がほぼ釣り合うため梅雨前線は、あまり南北に移動することはありません。このため、同じ地方で雨が降り続くことが多くなります。
◇毎年同じ時期に「梅雨」になる不思議
――梅雨が発生するメカニズムは何となくわかったのですが、毎年同じ時期に、しかも日本列島を狙い撃ちしたように梅雨前線が発生するのはなぜですか。
それには、上空の大気の流れが関係しています。上空には強い西よりの風「偏西風」が吹いています。梅雨の時期は、この「偏西風」がチベット高原付近を通るようになり、南北に分流して、北側を通る流れが中国大陸からオホーツク海にかけて大きく蛇行し、南側を通る流れが日本付近を通るようになります。
梅雨前線は、この「偏西風」のやや南側に発生します。このため、毎年ほぼ同じような時期に、ほぼ同じような位置に梅雨前線が発生することになります。
――チベット高原が日本の梅雨と関係があるなんて、ちょっと驚きです。梅雨の正体は、冬の高気圧と夏の高気圧の「戦い」でした。そうすると、逆に夏から冬に変わる時にも同じことが起きそうな気がしますが。
いわゆる「秋の長雨」というのがそれにあたると思います。9月から10月にかけて、1カ月ほど天気がぐずつく時期があり、これを言っています。ですが、年によって雨の降り方に違いがあり、梅雨の時期ほどはっきりとした気象現象にはならないこともあるようです。
(次回は気象庁の「梅雨入り」発表についてです)