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自宅の周辺で気温の観測をしている筆者=平井さん提供 |
気象予報士をしていて、梅雨の時期ほど仕事にやりがいがあると感じる一方で、精神的にはかなり辛くなります。梅雨の時期は天気予報の当たり外れに対してのご意見が多くなります。「外れたら謝れ!」は、ごく一般的なご意見ですが、「自然科学だから毅然(きぜん)とした態度で臨み、なぜ外れたかを説明しなさい」といったありがたいご意見もあります。
私は「気象キャスターネットワーク」という気象キャスターのNPO法人の代表を務めていますが、ことし2月にこの団体で気象キャスターコンテストを開催しました。このとき世界の気象キャスターが来日したので質問をしたところ、砂漠の国でも天気予報が外れたら必ず苦情が来るといっていました。そして、外れたら毅然とした態度で放送するというのが世界の主流であることもわかりました。
しかし、ここは日本で国民性も異なります。日本の天気予報が現在、どの程度当たっていて、どのくらい発展をしてきたのか説明しましょう。
現在の天気予報の適中率は約85%です。50年ほど前は約75%ですから、ずいぶん進歩しました。この理由としては、気象衛星ひまわりやアメダスによる観測精度の向上、観測データを素早く計算するスーパーコンピューターの性能の向上、さらに気象学の進歩があげられます。
ただし、梅雨の時期の6月は、適中率が70%台まで下がります。なぜ、梅雨の時期は天気予報が外れるのでしょうか? それは、雨雲の動きと関係しています。普通は、西から東へ流れる偏西風に乗って雨雲も東へ移動します、しかし、梅雨のときは、これに梅雨前線に伴う南北の動きが加わり、雨雲の消長が激しくなります。これらの要因が重なって、天気予報の当たらない季節になります。
では、一般の人たちはどうしたらいいかといいますと、新しい気象情報で判断することが大切です。前日の夕方の予報と、当日の朝の予報と状況は一変します。梅雨前線が前日の予報より北に位置し、暖かく湿った空気が流れ込んでくると大雨になります。雨雲の寿命は短く、西から雨雲がやってきても途中で弱まってしまうことがありますが、これまで雨の降っていなかったところで急に雨雲が発達して大雨になることもあります。
今後、精度を高めるには、市町村の中で観測地点を増やし、市町村ごとに地域を熟知した気象予報士を置き、きめ細かな監視をすることが必要です。こうした態勢をとることで大雨の発生を予測し、災害を未然に防ぐことも可能となるのではないかと思います。さらに市町村ごとの天気解説が聞かれるようになると、もっと気象情報が身近に感じられ、防災意識も高まるのではないでしょうか。
(つづく)
《筆者プロフィル》
平井信行(ひらい・のぶゆき) 気象予報士。1967年熊本生まれ。大学卒業後、日本気象協会へ。気象キャスターとしてテレビ番組に出演。NPO法人「気象キャスターネットワーク」の代表も務める。著書に「天気予報はこんなに面白い!−−天気キャスターの晴れ雨人生」(角川書店)がある。