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「中国産」私の魅力――第14部〈探索未来〉

2010年6月22日16時8分

写真ステージを終え、控室でリラックスした表情を見せる梨衣名さん=5月24日、横浜市西区、長島一浩撮影

 先月末、横浜に約4万人を集めたアジアビューティエキスポで、ステージを終えた梨衣名(りいな)さん(20)は控室でスタッフを笑わせながらくつろいでいた。

 滑らかな日本語、会話の間、おどけるしぐさ……。「本名を言わない限り、中国人とは思われないですね」

 10歳の時、機械設計エンジニアの父の仕事で中国山東省から来日し、小中高と日本の公立校に通った。幼い頃、手書きで図面を引いていた父の姿にあこがれて、茨城大工学部に進学。ロボット工学や人工知能を学んでいる。

 「ノーベル賞を取る」という夢が変わり始めたのは、2年前だった。「背が高いんだからモデルやんなよ」という進学塾の友人のすすめで、女優の長谷川京子さんらが所属するレプロエンタテインメントのモデルオーディションに応募。2万1千人余りの中からグランプリに選ばれた。

 身長170センチ。予選から「この子、ヤバイね」と声が上がるほどの均整のとれたスタイルと、英語でひとり芝居を演じた度胸の良さが評価された。今、ファッション誌「CanCam」の専属モデルとして、茨城と東京を行き来しながら月10〜15本の撮影やショーをこなす。

 モデルになるまでは、「周りに溶け込みたい」とずっと思ってきた。だから、友達から「中国語、話してみて」とせがまれるのが苦痛だった。いじめられたわけではないが、知らず知らず、予防線を張っていた。

 グランプリに選ばれて「中国出身」と紹介されるうち、「私のうりなんだ」と思えた。にぎやかな絵文字が満載のブログにも、「中国産です(笑)。中国語は忘れてないです」と書く。「今は、人が持っていない何かを身につけたい」。自分の中で交じり合う日本と中国を、どう表現していくか。キャリアは始まったばかりだ。

 中国の改革開放後に日本に渡ってきた「新華僑」と呼ばれる在日華人。その子どもたちが、社会の一翼を担う時代が来た。厚生労働省の人口動態調査によると、2008年、親の双方もしくは一方が中国人という新生児は9134人。都道府県別の新生児順位に当てはめると、37位に相当する。与えられた才能や環境を武器に羽ばたく子、日中のはざまで戸惑う子。親の世代と異なる感性や価値観を身につけつつ、自分の役割を探る。(林望)

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