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09月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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家庭遺産 今週の家庭遺産
あなたの家族の思い出を、遺産として登録する家庭遺産。
今回もとっておきの遺産を三つご紹介致します!

12:ねんど人形・怪我



高校生の時、美術の授業で作りました。
瓶と針金と麻紐で土台を作り、
何かを作るような授業だったと思います。
イメージしたのは、腕骨折、胸も包帯で巻いて満身創痍のおじさんが、
病院の待合室でパジャマ姿のままファイティングポーズをとり、
喧嘩に負けてもなお心折れず闘志を燃やしている場面です。

なぜこんなものを作ったのか、さっぱり思い出せませんが、
もしかしたら父子家庭で毎日懸命に生きている父を見ていて、
無意識に観察対象がモチーフになったのかもしれません。
瓶の形を活かしたぽっこりお腹と表情が気に入っているのですが、
その風体から置く場所を選ぶ上にホコリも払いづらいです。特に頭。
引越しの度に捨てられず、結婚した今でも飾っています。


所有者ネーム 降旗靖子


家庭遺産
え? 病院でファイティングポーズをとってるおじさん? なぜそんな意味不明な題材を? と思いましたが、理由を読んで納得しました。理由は後になって思い至ったとのことですが、そこにかえって降旗さんのお父さんに対する愛情を感じます。

きっと実際のお父さんも、この人形のように熱い闘志を秘めた方なんでしょうね。そしてその闘志は、間違いなく娘を守るためにあった。この人形はこれからもずっとお父さんと同じように、降旗さんを守ってくれるに違いありません。心温まる遺産をありがとうございました!

13:ティッシュ箱カバー



高校生の時、デパートの屋上で行われたフリーマーケットに友人と参加しました。
真夏の炎天下、僕らは各々持ち寄ったガラクタを
どうにか売って小銭を稼ごうとしたのですが、
案の定ほとんど売れませんでした。
やがて撤収の時間になって持参したものを片付けていると、
友人の一人が並べていた品をざざっとゴミ袋に入れ始めました。
「えっ、捨てるの?」
と僕が聞くと、友人は半ばふてくされたように
「持って帰るほどのものじゃねーから」と言いました。
そのとき、ひときわ派手なオレンジ色の物体が僕の目に止まりました。
それは、カバとも恐竜とも判断しづらい生物の「ティッシュ箱カバー」でした。
僕はそれをまったく欲しいとは思わなかったのですが、
「ぬいぐるみが捨てられてしまう」みたいなシチュエーションが
すごく苦手なので、とりあえず引き取ることにしました。

それからというもの、僕は5回引っ越しを行い、
その都度これを捨てようかどうか迷うのですが、
結局ずっと使い続けています。
中綿も潰れてゴムも伸びきってしまっているので、
もはや「箱の上に乗っかっているだけ」の状態なのですが、
なんとなく捨てることができません。


所有者ネーム 大伴 亮介


家庭遺産
助けていただいてありがとうございます。このティッシュカバーになりかわって、お礼を言わせていただきたい!
大伴さんの「ぬいぐるみが捨てられてしまうみたいなシチュエーションがすごく苦手」という気持ち、笑うと同時にグッと来ました。 回りくどい言い方ですが「そういう感情に気づかないふりをしていた自分に気づかされた」気持ちです。 これからも大切にしてください。なんらかの恩返しがきっとあるはずです。

14:石崎小学校の校歌の書



昭和13年に、石川県七尾市にある同小学校に、
父が教師として勤務していた時に、書いたもの。
父が平成5年に死去した後、平成9年3月に、
新校舎が完成し、講堂に掲げられていた、
父の書いた校歌の書が取り外され、新しい書に取り替えられた。
父の書は、捨てられるところだったのを、
父の教え子で、会社の部下でもあったNさんが、
切り取って、家へ持ってきてくれた。
父の若い頃が偲ばれる、我々家族にとっては、貴重なものだ。
持って来ていただいたNさんのご恩は忘れられない。

所有者ネーム 藤川 六十一


家庭遺産
画像では読みづらいかもしれないので、一番だけ書き起こさせていただきます。
大根の浦の昔から/こころを合わせて仂(はたら)いて/ 海山の幸うけついだ/しあわせはしあわせはわく温泉/ いまほこりかに石崎に/学ぶわれらに栄あり
一番の歌詞を読むだけで、地元の素晴らしい風景と名物が浮かんで来ます。校歌はこうでなくてはいけませんね。 書体からは若かりし頃のお父さまの、溌剌とした気概が伝わってきます。 何十年もの間、小学生たちを見守ってきたお父さまの書、今後は藤川さんご一家をやさしく見守られることと思います。 貴重な遺産ありががとうございました。


いかがだったでしょうか? 家庭遺産では、みなさまからの味わい深い遺産を心よりお待ちしております。遺産登録ご希望の方は下の「応募はこちらから」をクリックください。 応募された方全員に、あたなの名前、遺産名を入れた「家庭遺産公式認定書」をデータでお送りさせていただきます。
※デザインは変更する場合もあります
申請から認定までの流れ

 あなたの家の家庭遺産を写真に撮り、それにまつわるエピソードと共にお送りください。

 応募いただいた家庭遺産について、より詳細なエピソードをお聞きする場合がございます。その際こちらから連絡を差し上げますので、連絡をとれるご自身のメールアドレスと電話番号をご記入ください。

 認定された家庭遺産は、朝日新聞デジタルと一部紙面で順次掲載します。またご応募いただいた方には左の認定証をメールでお送りいたします。

家庭遺産とは?

~家庭遺産委員長・天久聖一さん寄稿~
 家庭遺産。それはどこの家庭にもある、家族にとって忘れられない思い出のつまった宝物です。世界遺産が後世に残したい人類共通の遺産なら、家庭遺産はその家庭バージョン。家族だけが知っている、もっとささやかな遺産です。

 それは他人から見るとぜんぜん意味のないものかもしれませんし、場合によっては当の家族からも迷惑がられているものかもしれません。たとえばお父さんが家族の白い目もかえりみず集めたコレクション。お母さんが突然つくりだした奇妙な手芸品、こどもたちが幼い頃つくった謎の工作。旅行先で浮かれて買ったものの、いまは押入で埃を被っている土産物などなど。

 そんな捨てるに捨てられない、けれどたしかに家族の歴史を刻んだ宝物を発掘、紹介するのが私たち家庭遺産委員会の活動です。あなたの家庭に眠る貴重な遺産を、その遺産にまつわるエピソードを添えてお送り下さい。あなたの思い出がつまった家庭遺産には、世界遺産以上の価値があるはずです。きっと。

筆者プロフィール天久 聖一

1989年、マンガ家としてデビュー。現在は演劇脚本、小説執筆、映像制作など多方面で活躍している。マンガのバカドリルシリーズや、ほぼ日刊イトイ新聞での連載「味写道」「家庭遺産」を執筆。朝日新聞デジタルで「家庭遺産」をリニューアルし、連載を開始。

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