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11月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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家庭遺産 今週の家庭遺産
あなたの家族の思い出を、遺産として登録する家庭遺産。
今回もとっておきの遺産を三つご紹介致します!

18:クマのぬいぐるみ



結婚した主人のものです。
まだ恋人同士のころに、4~5歳の女の子のように
可愛い顔をした主人のアルバムを見せてもらいました。
どの写真にも手にクマのぬいぐるみを持っているのです。
がさつな私にはお気に入りのぬいぐるみがある子供なんて
絵本や漫画の中だけだと思っていたので驚きました。
今もあるのよと姑が見せてくれましたが、
体がぺらぺらで薄汚れていました。
仕方がありません、25年前のクマなのですから。
無理矢理補修して今も存在することが素敵でたまりません。


所有者ネーム かわぐち うさ


家庭遺産
前回に引き続き、またもや「ぼろぐるみ」が届きました。度重なる補修のせいか、若干首長族になっているところがたまりません。あと下半身が袋とじですw ポイントはやはりこのクマの持ち主が、ご主人だったということでしょう。それに対する奥さんの感想がまたイイ。ぬいぐるみを大切にする子供なんて絵本や漫画の中だと思ってました、と。

たとえいまは屁ばっかりこいて、パソコン履歴はエロサイトだらけのご主人でも(※すいません勝手な想像です)この「ぼろぐるみ」のことを思い出すと、たいていのことは許せるんじゃないでしょうか。 これからも家庭円満の守り神として、大切になさってください。

19:浩治くんの机



その昔大工だった祖父が、
当時まだ子供だった父に作った机です。
いつから私の手元にあったのかは不明ですが、
恐らく良い大人になってからだと思います。
お嫁に来た時も一緒でした。
見た目以上に重量があり、
引っ越しや模様替えの度に難儀しています。
左の引き出しはきちんと閉まらず、
使いにくいことこの上ないのですが、
なんだか側に置いておきたいのです。
祖父が作り、父が使い、私が保管し、
今は私の1歳の息子が引き出しを開けいたずらしています。

私が18の頃に両親が離婚し、
この机の元の持ち主であった父は家を出ていきました。
10年経った今でも、浮気を重ねて家族を裏切った父のことが
私は大嫌いです。

ですが、私ももう大人なので、
「私と息子の命が今ここにあるという事実は、
紛れもなく父のおかげなのだ」
ということも理解しています。
この机が側にあることで、
命の繋がりへの感謝を忘れずに
生きていけているような気がします。

昨年、息子の誕生を機に9年ぶりに父に会いました。
父は病気をして、別人のように優しい人になっていました。
ですが私は凝り固まってしまった父への感情を
上手く変えることが出来ず、
やはり100%は許せず、嫌いなままです。
ただこの机を改めてぼんやりと眺めると、
「大嫌いな父に、もう1度くらい息子を会わせてあげても良いかな…」
なんて、ふんわりと思うのです。


所有者ネーム おくの ほしこ


家庭遺産
親に対する感情は人それぞれ。肉親だからこそ許せないこともあれば、許せることもあります。どちらの感情にも素直に従えばいいのではないしょうか。 実は私の両親も離婚しました。その後の母の苦労を目の当たりにすると父への恨みは募りましたが、やはりどこかに感謝がなければ、なにより自分が苦しくなります。

いまのおくのさんにとって息子さんが愛おしくてならないように、お祖父さんもまたお父さんが愛おしくてならなかった。その証であるこの机を、おくのさんが手放さなかったということは、どうあっても断ち切れない親子の愛情を、心のどこかで信じていたからだと思います。ぜひ、もう一度くらい会ってあげてください。

20:息子が使っていたラップの箱



10年前、大学進学を機に一人暮らしを始めた息子。
大学2年の夏、合宿中に大雨による川の
激流にのまれ亡くなりました。

アパートに残された数々の思い出の品。
このラップの箱はそこにあったものなのですが
なかなかうまく切れなかったのか
一生懸命切ろうとして
指に力を入れた(のだろう)跡が残っています。

ラップを前に悪戦苦闘している息子の姿を思い
愛おしさが募ってきます。
捨てるに捨てられない大切な遺産。
家族に見つかるとポイッと捨てられそうで
押入れの中に大切に隠しています(笑)


所有者ネーム manatsu f


家庭遺産
この思いの詰まった家庭遺産に、どういうコメントを添えていいのか、正直私には分かりません。 でもこのラップ箱を手にすることで、いつでも息子さんに会えるということは、素晴らしいことですね。 思い出すこと自体が辛い日々もあったと思いますが、再びこうして向き合える日が訪れることを、息子さんも待ち望んでいたことと思います。

それにしてもサランラップの箱というのがいいですね! こういう日用品にこそ、その人の本当の姿が染みこんでいるものです。きれいな思い出ばかりでは、息子さんもきっと居心地が悪いでしょう。数々の遺品の中、あえてこれを持ってられたmanatsu fさんのセンスに脱帽です。息子さんもきっと苦笑いしつつ喜んでいると思います。 貴重な遺産とエピソードありがとうございました。最後の(笑)に、感謝します。



いかがだったでしょうか? 全十回、20品の家庭遺産を紹介しましたこの連載は、今回でいったんお休みです。 実にさまざまな遺産には、それぞれかけがえのない思い出がつまってました。世間ではほとんど価値のない遺産にもその家庭、その人だけの歴史がある。本当に価値あるお宝はふだん気に留めない、引き出しの中や押入に、何食わぬ顔で存在しています。あなたの家の家庭遺産、ぜひ見つけてみて下さい。 それではまたお会いしましょう!ご愛読ありがとうございました。

※デザインは変更する場合もあります
申請から認定までの流れ

 あなたの家の家庭遺産を写真に撮り、それにまつわるエピソードと共にお送りください。

 応募いただいた家庭遺産について、より詳細なエピソードをお聞きする場合がございます。その際こちらから連絡を差し上げますので、連絡をとれるご自身のメールアドレスと電話番号をご記入ください。

 認定された家庭遺産は、朝日新聞デジタルと一部紙面で順次掲載します。またご応募いただいた方には左の認定証をメールでお送りいたします。

家庭遺産とは?

~家庭遺産委員長・天久聖一さん寄稿~
 家庭遺産。それはどこの家庭にもある、家族にとって忘れられない思い出のつまった宝物です。世界遺産が後世に残したい人類共通の遺産なら、家庭遺産はその家庭バージョン。家族だけが知っている、もっとささやかな遺産です。

 それは他人から見るとぜんぜん意味のないものかもしれませんし、場合によっては当の家族からも迷惑がられているものかもしれません。たとえばお父さんが家族の白い目もかえりみず集めたコレクション。お母さんが突然つくりだした奇妙な手芸品、こどもたちが幼い頃つくった謎の工作。旅行先で浮かれて買ったものの、いまは押入で埃を被っている土産物などなど。

 そんな捨てるに捨てられない、けれどたしかに家族の歴史を刻んだ宝物を発掘、紹介するのが私たち家庭遺産委員会の活動です。あなたの家庭に眠る貴重な遺産を、その遺産にまつわるエピソードを添えてお送り下さい。あなたの思い出がつまった家庭遺産には、世界遺産以上の価値があるはずです。きっと。

筆者プロフィール天久 聖一

1989年、マンガ家としてデビュー。現在は演劇脚本、小説執筆、映像制作など多方面で活躍している。マンガのバカドリルシリーズや、ほぼ日刊イトイ新聞での連載「味写道」「家庭遺産」を執筆。朝日新聞デジタルで「家庭遺産」をリニューアルし、連載を開始。

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