お待たせいたしました!
あなたの家族の思い出を、遺産として登録する家庭遺産!
第2シーズンの幕開けでございます。
家庭遺産、それは他人から見ればガラクタでも、家族にとっては掛け替えのない、思い出の詰まった宝物。百聞は一見にしかず、まずは集まった遺産たちをご覧ください!
No.021
ぴてし
私が1歳の時に、母がUFOキャッチャーで200円でとってくれたディズニーのベビーミニーちゃんのぬいぐるみです。
20年間毎日いっしょに寝ており、旅行や留学の時もいつでもいっしょです。右腕、頭、背中、お尻、お腹など母による全身手術が何度も行われ、今はもうミニーマウスの原型を留めていないため「ぴてし」という新しい名前で家族の一員として家族みんなでかわいがっています。
所有者ネーム 菊澤 仁実
No.022
猿面石
小学二年生の頃、拾った小石に父の顔を描く授業があり、私が描いたものです。
父の顔を描くつもりが、何も考えずに勢いで立派な顎ヒゲの男を描いてしまいました。
もちろん普通の会社員の父に顎ヒゲはありません。
ふと我に返り、あわててヒゲを消す修正を加えた結果、面長の猿面石が完成しました。
教室のロッカーの上に「ぼくのおとうさん」というタイトルで飾られた時は、子供ながらに絶望を感じたものです。その後、後ろめたい気持ちから父に見せることも出来ず、勉強机の奥に27年間しまってありました。
よく考えて行動しないと取り返しがつかない事になるという教訓を教えてくれた思い出の品です。
所有者ネーム まつも つよし
No.023
留置所お泊まりセット
今年7月逮捕され、留置場で6泊7日を過ごした際に使った身の回り品です。
留置場では、ひもやレースがついた服や化粧品の持ち込みが禁止。
はいていたパンツや着替えもレースがついていたため、持ち込めませんでした。
そこで仕方なく警察署で購入させられたのがこのパンツ。
靴下やシャンプーも買わされました。
持ち物すべてにある「820」は、看守が書いたもので
「8」が湾岸署の番号、「20」が私の番号です。
看守には「ニーゼロ」と呼ばれていました。
留置場では、ごはんの時に音楽が流れるのですが、
一度だけCHAGEandASKAの「SAY YES」が流れ、
みんなで盛り上がったのを覚えています。
ASKAさんが釈放された記念だったんでしょうか。
長く留置されていた人から、これから経験する手続きなどで
アドバイスをもらったことも印象に残っています。
釈放される時、買ったシャンプーや歯ブラシなんかも
持ち帰りできたんですが、突然だったため一部は置いてきてしまいました。
釈放されてから同じものを探しても見つからない。
ある意味かなりの稀少品だったみたいで、
持って帰ればよかったと今では後悔しています。
看守によると、留置中の持ち物は、
みんな思い出したくないからあまり持ち帰らないそうですが、
私の場合、罪を犯して留置されたわけではないと思っているので、
ネタになる、ひとつの宝。
展覧会などでも展示していて、Tokyo designers week2014のTDWアートフェアに出展した際は、前期準グランプリを受賞しました。
これからもずっと大切に保管するつもりです。
所有者ネーム ろくでなし子
いかがだったでしょうか?
クスッと笑えるものから、まさかに拘置所エピソードまで、家庭遺産はどんな思い出も平等に受け入れます。
これまでに集まった遺産もぜひご覧ください。
家庭遺産はどの家庭にも、必ずひとつはあるものです。是非、みなさまの貴重な遺産をご紹介ください。
以下の投稿フォームから簡単にご応募いただけます。
また、応募された方には全員に、「家庭遺産認定書」を送らせていただきます。
みなさまからの、味わい深い遺産をお待ちしております!
1 あなたの家の家庭遺産を写真に撮り、それにまつわるエピソードと共にお送りください。
2 応募いただいた家庭遺産について、より詳細なエピソードをお聞きする場合がございます。その際こちらから連絡を差し上げますので、連絡をとれるご自身のメールアドレスと電話番号をご記入ください。
3 認定された家庭遺産は、朝日新聞デジタルと一部紙面で順次掲載します。またご応募いただいた方には左の認定証をメールでお送りいたします。
~家庭遺産委員長・天久聖一さん寄稿~
家庭遺産。それはどこの家庭にもある、家族にとって忘れられない思い出のつまった宝物です。世界遺産が後世に残したい人類共通の遺産なら、家庭遺産はその家庭バージョン。家族だけが知っている、もっとささやかな遺産です。
それは他人から見るとぜんぜん意味のないものかもしれませんし、場合によっては当の家族からも迷惑がられているものかもしれません。たとえばお父さんが家族の白い目もかえりみず集めたコレクション。お母さんが突然つくりだした奇妙な手芸品、こどもたちが幼い頃つくった謎の工作。旅行先で浮かれて買ったものの、いまは押入で埃を被っている土産物などなど。
そんな捨てるに捨てられない、けれどたしかに家族の歴史を刻んだ宝物を発掘、紹介するのが私たち家庭遺産委員会の活動です。あなたの家庭に眠る貴重な遺産を、その遺産にまつわるエピソードを添えてお送り下さい。あなたの思い出がつまった家庭遺産には、世界遺産以上の価値があるはずです。きっと。
1989年、マンガ家としてデビュー。現在は演劇脚本、小説執筆、映像制作など多方面で活躍している。マンガのバカドリルシリーズや、ほぼ日刊イトイ新聞での連載「味写道」「家庭遺産」を執筆。朝日新聞デジタルで「家庭遺産」をリニューアルし、連載を開始。