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09月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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家庭遺産 今週の家庭遺産:5
ケヤキのこたつ天板


 あなたの家族の思い出を、遺産として登録する家庭遺産。
今回ご紹介するのは内田正子さん所有の「ケヤキのこたつ天板」です。

百年の時を経たこたつ天板。IKEAには絶対売ってません


この天板はおじいさまがつくられたもので、
それがお母さんを経て、
正子さんに受け継がれたもの。

おじいさまは1867年生まれ、
亡くなったのが1922年といいますから、
おそらく100年以上の時を経た年代物です。
お母さまはこの天板をおじいさまの形見の品として、
とても大切にされ、
実際にこたつの天板として使用することはなかったといいます。

でも正子さんはこの品を受け継いだとき、
本当はちゃんと使ってあげることが、
おじいさまの気持ちに報いることになると考えたのですが、
やはり実際に使うのはためらわれ、
結局は床の間に鎮座させていると言います。

同じケヤキでつくったというお盆。これもIKEAには売ってません

丁寧に漆のほどこされた天板からは
手作りのぬくもりが伝わってきます。

正子さんが生まれたとき、 すでにおじいさまはいなかったそうですが、
この天板を眺めるたび、自然豊かな
東京のチベットと呼ばれる檜原村で
山の仕事の合間にこれをつくったおじいさまと、
そのことを懐かしんでいたお母さまに思いをはせるそうです。

名のある名工による作品ではなく、
お宝鑑定で高値のつく品ではないかもしれませんが、
親子三代の思い出をつなぐ天板はそれ以上のお宝です。

それに「鑑賞用のこたつ天板」とは、
なんとも珍しい逸品ではありませんか!
年に一度くらいはこの上でミカンなど食べるのも、
よい供養になるかもしれません。

貴重な遺産ありがとうございました。
家庭遺産に認定させていただきます。
ちなみに正子さんからのお便りで、
檜原村が「東京のチベット」の異名を持つことをはじめて知りました。

家庭遺産では、随時このような味わい深い家族のお宝を募集しております。
みなさまからの遺産、心よりお待ちしております。

申請から認定までの流れ
 あなたの家の家庭遺産を写真に撮り、それにまつわるエピソードと共にお送りください。 応募の際は、応募フォームの注意書きもよくご覧ください。

 応募いただいた家庭遺産について、より詳細なエピソードをお聞きする場合がございます。その際こちらから連絡を差し上げますので、連絡をとれるご自身のメールアドレスと電話番号をご記入ください。

 認定された家庭遺産は、朝日新聞デジタルと一部紙面で順次掲載します。またご応募いただいた方には認定証をお送りいたします。
家庭遺産とは?

~家庭遺産委員長・天久聖一さん寄稿~
 家庭遺産。それはどこの家庭にもある、家族にとって忘れられない思い出のつまった宝物です。世界遺産が後世に残したい人類共通の遺産なら、家庭遺産はその家庭バージョン。家族だけが知っている、もっとささやかな遺産です。

 それは他人から見るとぜんぜん意味のないものかもしれませんし、場合によっては当の家族からも迷惑がられているものかもしれません。たとえばお父さんが家族の白い目もかえりみず集めたコレクション。お母さんが突然つくりだした奇妙な手芸品、こどもたちが幼い頃つくった謎の工作。旅行先で浮かれて買ったものの、いまは押入で埃を被っている土産物などなど。

 そんな捨てるに捨てられない、けれどたしかに家族の歴史を刻んだ宝物を発掘、紹介するのが私たち家庭遺産委員会の活動です。あなたの家庭に眠る貴重な遺産を、その遺産にまつわるエピソードを添えてお送り下さい。あなたの思い出がつまった家庭遺産には、世界遺産以上の価値があるはずです。きっと。

筆者プロフィール天久 聖一

1989年、マンガ家としてデビュー。現在は演劇脚本、小説執筆、映像制作など多方面で活躍している。マンガのバカドリルシリーズや、ほぼ日刊イトイ新聞での連載「味写道」「家庭遺産」を執筆。朝日新聞デジタルで「家庭遺産」をリニューアルし、連載を開始。

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