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人権・校閲

こちら人権情報局

節電とバリアフリー

(特に注記のない場合、新聞記事の日付などは東京本社最終版です〉
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■節電とバリアフリー

 原子力発電所の被災による節電で、東京電力管内では街の中がずいぶん暗くなっています。そもそも必要以上に明るかったのであり、バブル期以前はこのくらいだったような気もします。一方、そのころは「バリアフリー」という言葉がまだ一般に知られていない時代でもありました。駅の構内や地下通路などでは、照明が消され、エスカレーターも止まっているところが多いのですが、障害者や高齢者のことは十分考えられているのでしょうか。

 「節電で暗い駅 障害者困惑」(日経新聞4月24日)と「障害者『外出怖い』 節電・・・暗い道・動かぬエスカレーター」(産経新聞4月30日)は、「階段や障害物に気づきにくく危険」という視覚障害者や、エレベーターを探すのに苦労する高齢者らの声を伝えています。

 東洋学園大学教授の櫻田淳さんは、「重度身体障害の故に階段の昇り降りに難儀を来している」自らが地下鉄駅構内で困惑した経験を挙げ、「ある人々にとっては、『多少の不都合』でしかないものが、他の人々にとっては、『途方もない不都合』になるということもある」と書いています(WEBRONZA「節電励行が損ねる『バリアフリー』環境」)。産経の記事では、慶応大学の中野泰志教授が「障害者にとっては我慢できるできないの話ではなく、生死にかかわること。不便を感じても言い出しにくい雰囲気になっている」と話しています。ツイッターでは「震災で東京がバリアフル都市になった件(障害者当事者の視点から)」に様々な意見がまとめられており、この中に「当事者の思いを想像する力を付けてほしい」@kame800)という声がありました。

 先に挙げた日経の記事によると、JR東日本の窓口に届く意見の8割は「もっと節電を強化すべきだ」という内容とのことですが、電気を使うことが本当に必要な人もいるという意識も、多くの人が持たなければならないと思います。

 また、東京大教授の福島智さんは、いつどこでどのように発生しても、最善の社会的取り組みを目指す必要があるという点で、防災とバリアフリーには共通点があると述べています(毎日新聞4月28日「これが言いたい 防災とバリアフリーを経済コストで測るな」)。発生頻度の低い障害や災害への取り組みを「コスト的に現実的ではない」ととらえることへの批判です。一方、経済の観点から考えたとしても、移動手段への不安から外出を控えることはマイナスであり、「生活弱者の安心・安全への目配りがしっかり出来ていることが、実は『消費を下支えする重要なインフラ』である」(日経ビジネスオンライン「節電で『バリアフリーの灯』を消すな」高嶋健夫)という指摘もあります。いずれも、震災後の社会の在り方を考えるうえで重要です。

「ファイト新聞」の編集部 宮城・気仙沼 /避難所の子、新聞創刊 東日本大震災拡大「ファイト新聞」の編集部。子どもたちの手書き新聞が元気を与えている=宮城県気仙沼市の気仙沼小学校
■「災害弱者」再考

 「雄々しく働く男性に対し、か弱い老女と子どもという構図が定型化していないでしょうか」。女性や子ども、高齢者は、災害でより大きな影響を受けると思われます。しかし、一方的に助けを待つだけの「災害弱者」とだけ捉えてよいのかという疑問を投げかけたのは、NPO法人・高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子さんです(毎日新聞4月26日夕刊「女性や高齢者の視点から支援がもっと必要」)。多くの女性や高齢者の知恵と経験が避難所での生活を支えていますし、みんなを元気づけようと手書きの新聞を作った宮城県気仙沼市の小学生たちの活躍も伝えられています(朝日新聞4月15日夕刊「『ファイト新聞』避難所の子創刊」)。仮設風呂行きの臨時バスを案内し、率先して大人を手伝う子もいます(毎日新聞5月2日夕刊「『ボクはバス課長』 避難所運営に小5奮闘」)。

 また、被災地や日本全体の今後をどのようにしていったらいいのかを考えるに当たっても、「国・自治体の防災会議、避難所運営などで必要なのは、男女両性と全年代から成る全員参加型組織ではないでしょうか」と樋口さんは言います。政府の「復興構想会議」のメンバーを見ると、「検討部会」を含めても女性はずいぶん少ないようですが、大丈夫でしょうか。

■本

「音」だけを頼りに大津波をどう生き抜いたか 盲人たちの「3・11」(WEB新書)
 光も色もない世界で、「津波の恐怖」と、どう対峙したのか。「壊滅した故郷の街」を頭の中にどう描くのか。大震災。「音」だけが頼りだった全盲の被災者たちを、追う。[掲載]AERA(2011年4月25日号)

『災害がほんとうに襲った時--阪神淡路大震災50日間の記録』『復興の道なかばで--阪神淡路大震災一年の記録』(中井久夫著、みすず書房)
 阪神大震災を体験した精神科医の手記。電子書籍版も発売。「災害がほんとうに襲った時」の一部は電子データが無料公開されています。

『こころの科学』65号「大震災とこころのケア」所収3論文を無料公開(日本評論社)
 「こころの傷と癒しのあり方」河野博臣、「災害の中の病者たち」神代尚芳、「救援者のバーンナウト症候群」神代尚芳。
 

■アラカルト

拡大坂道をダッシュする帝京大の大塚
難聴ラガーマン、大学で挑む 帝京大・大塚「可能性を確かめたい」(5/2夕刊)
  生まれつき耳の不自由なラガーマンがこの春、2年連続大学日本一の強豪・帝京大の門をたたいた。大分雄城台(おぎのだい)高出のWTB大塚貴之。「耳の聞こえない人の代表として可能性を確かめたい」 。100人超の屈強な部員の中で、166センチの体は小さく映る。春の練習は心肺機能と下半身の強化が中心。補聴器を外し、懸命に走る。重度の難聴で笛の音やコーチの声は聞こえない。周りの動きに目をこらし、分からないことがあれば仲間の背中をたたき、身ぶり手ぶりで理解する。

【群馬】知的障害者バンド 被災支援ライブ(4/27)
 東日本大震災の被災者を支援したいと、知的障害者のエレキバンド「ネバーエンディングストーリー」が4月24日、下仁田町馬山の「道の駅しもにた」で支援ライブを行った。集まった募金は26日、福島県の知的障害者を受け入れている高崎市の国立施設「のぞみの園」に寄付された。

【埼玉】石巻の障害者施設支援へ 東松山の福祉団体、職員ら派遣(5/2)
 埼玉県東松山市地域自立支援協議会が3~5日、福祉団体職員と市民ボランティア計10人前後を宮城県石巻市の障害者入所施設に派遣し、東日本大震災で被災した障害者を支援する。避難所での生活が困難な障害者らのために、介護やレクリエーションを通じた心のケア、炊き出しといった支援を続ける方針だ。

【愛知】色覚障害、眼鏡で体験 カラー資料作りなどに活用(4/21)
 色覚障害者にとって、赤や緑色がどんなふうに見えるのかを、健常者が体験できる眼鏡を、豊橋技術科学大学の中内茂樹教授(45)=情報・知能工学=らが開発し、文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞した。

【三重】被災地の障害者がつくった油麩販売 志摩のNPO法人(5/3)
 三重県志摩市阿児町のNPO法人「TEAM笑美S(えびす)」は、東日本大震災で被災した宮城県登米(とめ)市の障害者就労支援施設がつくった油麩(ふ)などの食品を、志摩市阿児町賢島の土産店「以志川」で販売している。辻村知身理事長は「息の長い支援を続けたい」と話す。NPO法人は、障害者の就労支援や地域活性化に取り組み、20年ほど前から登米市の職員と交流してきた。

【三重】要援護者台帳 亀山市が整備(4/28)
 亀山市は、災害時に高齢者や障害者ら要援護者を的確に支援できるよう「災害時要援護者台帳」を整備した。市地域防災計画に定めた市内15カ所にある代表避難所の代表者に、台帳の写しを提供し、支援に役立ててもらう。

【大阪】口に絵筆、命のタッチ 堺の日本画家、初作品集(4/28)
 事故で両腕を失い、中学2年の時から口に絵筆をくわえて作品を描いてきた日本画家、南正文(まさのり)さん(59)=大阪府堺市堺区=が初の作品集「ふりかえってみれば…」を出版した。小さな草花を穏やかなタッチで描き、生命への温かなまなざしが伝わってくる。 南さんは8歳の時、父親が営んでいた製材所の木工機械に巻き込まれて肩から先の両腕を失った。中学2年の時、養父による一家殺傷事件に巻き込まれて17歳で両腕を失いながら、口で書画を描き続けた尼僧、故大石順教(じゅんきょう)さんのことを近所の人から教えられた。

【山口】精神障害者と語らいの場(4/23)
 山口市楠木町に憩いの家「里楽巣(りらっくす)」がある。精神障害者への理解を深め地域との交流の場にと、ボランティアグループ「ひまわりの会」が2002年に開いた。

【福岡・北九州】障害あるレスラー 手こぎ自転車で日本を縦・横断(4/27)
 両足に障害があるプロレスラー永野明さん(35)=東京都北区=が5月から秋にかけて、手でこぐ自転車「ハンドサイクル」で日本を縦横断する。東日本大震災の被災地も走る予定だ。

【福岡・北九州】障害者、深い心の傷(4/26)
 東日本大震災で避難所に身を寄せた障害者支援で福岡市身体障害者福祉協会が続けた職員派遣が26日、終了する。避難者は障害者施設などへの入所が決まっているが、職員の目には心の傷の深さが映った。協会は3月31日から2人1組の職員を5回派遣。身体障害者ら約10人が避難した仙台市の宮城野障害者福祉センターで見守りや介護にあたった。同センターはもともと24時間態勢ではなく人手が足りないため、主に夜勤を担当してきた。

【佐賀】重度障害の男性手助け(5/2)
 重度の男性身体障害者の射精を介助するサービスが、全国に広がっている。県内でも、新潟市に本部を置く「NPOホワイトハンズ」が3年前から介助を始めた。利用者からは歓迎の声も上がるが、障害者の性に対する社会の理解は低く、専門家は支援の充実の必要性を指摘している。

【熊本】被災の障害者「孤立」(4/28)
 東日本大震災で被災した障害者を支援するため、県内の障害者団体の職員が今月上旬、福島第一原発事故の被害が続く福島県に入った。職員が目にしたのは、トラブルや差別を恐れながら不自由な生活を続ける障害者の姿だった。職員らは27日、県庁で記者会見し、被災地で障害者支援が行き届いていない現状を報告した。