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人権・校閲

こちら人権情報局

大震災と自閉症

(特に注記のない場合、新聞記事の日付などは東京本社最終版です〉
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■大震災と自閉症

 「世界自閉症啓発デー2011・シンポジウム」が6月18日に都内で開かれました。4月2日の予定だったものが、東日本大震災の影響で延期となり、テーマも「災害と自閉症~共に支え合い、共に生きる~」に変更され、被災地からの報告、支援に入った人たちからの報告がありました。

 これまで新聞などでも報じられてきたように、自閉症の子が体育館などの避難所で暮らすのは難しいという事情があります(朝日新聞2011年3月22日「自閉症の子わかって 周囲に遠慮 車中泊1週間」、同2011年4月26日「自閉症の子おいでよ 「車中泊の一家」に支援の手」)。環境が変わるとパニックになったりすることもあるからです(一方では、非常に我慢強く、震災当日に暗い雪道を6時間歩いて帰った兄弟や、日常のルーチンワークをこなすのが得意なので、体調を崩した母親に代わって洗濯、料理、掃除をしている少年もいました)。初めから避難所はあきらめて、車の中に泊まるなどした例が多かったとのことです。また、自閉症の子は待つのが苦手であり、水や食料の配給のときに、自閉症の子供を連れて並ぶのは非常に難しい。代わりに並んでくれたり、子供を預かってくれたりするボランティアなどがいると助かるという声がありました。自宅に住むことができている家族でも、買い物では長蛇の列に並ぶことになったため、事情は同じです。

 一般的な非常持ち出し用のほかに、それぞれの子にとって必要なものを入れた「マイパック」を用意しておくことが大事だという話もありました。音に敏感な子には耳あて、白いご飯が苦手な子にはふりかけ、といった、生活のリズムを少しでも保てるようにするためのものです。

 地域では「どこの誰ちゃん」とわかっているだけで「支援」になるということです。そのためのキーパーソンとなる人の重要性や、「顔の見える」ネットワークづくりなども提案されました。小さな避難所や、特別支援学校が避難所になったところなどは、自閉症の子にとってよかったという報告がありました。大きな避難所でも、ちょっとした「ついたて」のようなものがあるだけでずいぶん違うようです。

 自閉症に限らず、障害者や高齢者専用の避難所が必要であり、そのためには、個人の善意にたよるのではなく、システムとして対応できるようにすべきだという問題提起がされました。さらに、人と人との絆こそが重要であり、今回のテーマである「共に支え合い、共に生きる」ことで、人間としての喜び、学びが得られるというまとめが印象に残りました。

「自閉症の人たちのための防災ハンドブック」(日本自閉症協会)

■伝える、つながる

心は被災支援に 介護受けつつ「できることを」 筋ジスと闘う鹿角・阿部さん/秋田県拡大「パソコンのおかげで全国の友人とつながっていられる」と話す阿部尚明さん=鹿角市
【秋田】心は被災者支援/筋ジスと闘う阿部尚明さん(6/25)
 全身の筋力が徐々に衰えていく難病の筋ジストロフィーと闘いながら、ボランティアや自殺予防活動に参加する男性が鹿角市にいる。阿部尚明さん(29)だ。24時間介護が必要だが、「今の自分にできることをやりたい」と精力的に動き回る。

【石川】自立の道具 操作助けて(6/18)
 情報弱者とされる視覚障害者のパソコン利用を手助けする「サポーター」のボランティアが不足している。障害者向けのソフト開発が進んだが、障害者が1人で使い方を覚えたり、機器やソフトのトラブルに対処したりするのは難しい。金沢市のNPOは25日から同市で養成講座を開き、サポーターの輪を広げようとしている。

【三重】聴覚障害者の運転免許取得に道(6/15)
 大屋隆さん(58) 県聴覚障害者協会長=黄綬褒章
 伊勢市の大屋隆さん(58)は、生まれつき耳が聞こえない。聞こえる人たちと同じように生活ができる世の中を目指してきた。その功績が評価された。 県立聾(ろう)学校高等部2年の時、聴覚障害者は、運転免許が取得できないことを知った。これをきっかけに、地域の聴覚障害者たちが集まる協会に入り、関係機関への働きかけを始めた。地道な活動が実を結び、2008年6月、改正道路交通法の施行で重度の聴覚障害者も、条件付きで運転免許の取得が認められた。

【和歌山】【わかやま動物ウオッチング】58 盲導犬育成 細やかな支援を(6/20)
 盲導犬ナッティは、社会福祉法人「日本ライトハウス」(大阪市)の盲導犬訓練所(大阪府千早赤阪村)で育成されました。この訓練所は、1994年まで田辺市にありました。訓練を受けて実際に盲導犬になれるのは3割ほどです。70年に創設されたこの訓練所からは、3月末までに579頭の盲導犬が輩出し、184頭が現役として全国で活躍しています。

【広島】聴覚障害者にメールで災害情報(6/16)
 津波警報や避難勧告など緊急度の高い災害情報を、聴覚障害者に携帯電話のメールで知らせるサービスが6月下旬から備後地方で始まる。防災無線など音声が聞き取れない聴覚障害者らの団体が独自に考案。東日本大震災を受け、いざというときの避難を心配する障害者に役立ててもらう。

【広島】要約筆記 思いを共に(6/15)
 利き手に重度の障害を持つ尾道市御調町の金野惇子(かのう・あつこ)さん(72)が、話し言葉をその場で文字にする要約筆記ボランティアとして引っ張りだこだ。要約筆記ボランティアは、講演などの音声の内容をその場で要約し、文字に通訳する人。文字を透明のシートに書いたりパソコンに打ち込んだりして、字幕として会場のスクリーンに大写しにするケースが多い。手話が苦手な失聴者や難聴者らにとっては大きな助けとなる。

【徳島】災害時、障害者にどう接すれば?(6/15)
 県は、災害時に介助の必要な障害者が避難所で孤立しないように、基本的な介助方法や接し方を説明したハンドブックを今年度、作成する。県によると、足が不自由で歩けなかったり、慢性疾患を持っていたりする障害者のために、災害時に特養老人ホームなどの福祉避難所がある。だが、東日本大震災では、学校の体育館などの一般の避難所に避難せざるを得ないケースが少なくなく、大声を出したりして、周囲とトラブルになることもあったという。

■アイヌ民族

アイヌ姉妹拡大強制移住の犠牲となった祖先の墓前で追悼の演奏をする札幌マユニタラモシリトンコリ保存会の川上さやかさん(手前)、あずささん姉妹=江別市対雁
【北海道】樺太のアイヌ民族 子孫ら墓前祭 江別(6/19)
 樺太先住民のアイヌ民族が道内に強制移住させられ、集団伝染病で多くが犠牲になった事件を悼む「樺太移住殉難者墓前祭」が18日、移住先の江別市対雁(ついしかり)の市営墓地であった。1875(明治8)年の千島樺太交換条約で樺太がロシア領となり、日本政府が同地のアイヌ民族841人を道内開拓のために移住させ、対雁で400人以上が亡くなった。

【北海道】洪水なぜ 続く闘い 沙流川水害訴訟(6/27)
 8年前の沙流(さる)川洪水は国に責任があると日高町の住民たちが訴えた国家賠償訴訟は今年4月、一審・札幌地裁で原告側が勝訴した。河川管理者の北海道開発局が水門を閉めずに操作員を避難させたことが違法だと判決は認定した。国相手の水害訴訟で住民側が勝訴するのは近年極めて珍しい。
 実は水害の真の原因ではないかと中村さんや原告弁護団の市川守弘弁護士(札幌弁護士会)が考えているのが二風谷ダムの存在とその「一気放流」だ。国のダム建設構想が明らかになったのが1971年。地元アイヌで地権者の萱野茂・元参院議員(故人)らが反対したものの、ダム本体は94年に完成し、96年4月から貯水を始めた。
 萱野氏らは土地収用取り消しを求めて提訴。札幌地裁は97年3月、アイヌを初めて先住民族として認め、土地収用とダム建設の事業認定を違法としながら、ダムが完成していたため収用取り消し請求は棄却した。

【北海道】道外アイヌ民族 困窮如実 政策推進会議(6/25)
 アイヌ民族の政策を検討する政府の「アイヌ政策推進会議」(座長=枝野幸男官房長官)が24日、東京・永田町の首相官邸であり、道外アイヌ民族の生活実態調査の結果と、「民族共生の象徴空間」に関する基本構想が報告された。実態調査では、道外に居住するアイヌ民族も収入や教育面などで全国平均と比べて格差があり、道内のアイヌ民族と同様に困窮している実態が明らかになった。

【北海道】奇跡の少女 知里幸恵(6/24)
 1918(大正7)年、アイヌ語研究者の金田一京助は、旭川に住むアイヌの口承叙事詩、ユーカラの優れた伝承者である金成マツさん宅を訪ねました。アイヌ民族の伝統文化の収集記録に奔走していた金田一は、ここで一人の少女と出会います。彼女の名は知里幸恵。この時、15歳。登別で農業を営むアイヌ民族の知里高吉の長女として誕生し、6歳の時に祖母と伯母・金成マツに引き取られ、ユーカラを子守歌に育ちました。頭が良くアイヌ語も日本語も流暢(りゅうちょう)に話しユーカラにも詳しい幸恵は、金田一にとって、まさに「天が私に遣わせてくれた天使」であり、奇跡の少女でした。→知里幸恵 銀のしずく記念館(北海道登別市)

■イベント

日本語ジェンダー学会第12回年次大会
 7月10日(日)10時30分~17時。学習院大学中央教育研究棟403教室(東京都豊島区)。基調講演「能のストーリーに秘められたジェンダー性」、シンポジウム「日本文学の中のジェンダー観」ほか。

■アラカルト

有罪根拠の調書、誘導か 福井・25年前の殺人事件(6/16)
 福井市で25年前に起きた女子中学生殺害事件で服役し、冤罪(えんざい)を訴えている男性の再審請求審で、公判に出されなかった証拠が相次いで開示されている。弁護団の求めを受けた検察側が明らかにしたが、確定判決の根拠の一つとなった目撃者の供述調書が捜査員の誘導で作成された疑いを示すものも含まれている。弁護団は「確定判決が認定した凶器とは別の刃物が使われたとする鑑定結果も新たに出ており、裁判をやり直すべきだ」と主張している。

障害者虐待防止法が成立 市町村の立ち入り調査可能に(6/17)
 障害者虐待防止法が17日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。障害者への虐待を見つけた人に市町村への通報を義務づけるほか、虐待が疑われる家庭への市町村の立ち入り調査も可能になる。来年10月に施行される。

【北海道】久保選手、総合4位 全国車いすマラソン(6/20)
 初夏の札幌市を駆けめぐる「はまなす全国車いすマラソン大会」(北海道障害者スポーツ振興協会主催)が19日、同市南区の真駒内セキスイハイムスタジアムを主会場にあった。全国から約90人が参加。今年が最後のフルマラソン(42.195キロ)では、バンクーバー・パラリンピック代表の久保恒造選手(30)=美幌町=が1時間33分31秒で総合4位に入った。

【群馬】障害者ら尾瀬を楽しむ 片品村が散策ツアー、初の試み(6/27)
 体の不自由な人が低公害車で尾瀬に入り、散策する初めての試みが26日、群馬県片品村であった。最高96歳の女性ら13人をはじめガイド、介助者、村関係者ら計約50人が参加した。

【多摩】学食、障害者働くカフェに 法政大(6/15)
 法政大学多摩キャンパス(町田市相原町)の学生食堂がリニューアルし、学生と教員、障害者支援に取り組む地域のNPO法人などが協力して運営する「カフェ」になった。学外の市民も利用でき、大学と地域をつなぐ役割が期待されている。

バイオリニストのライブにつく(1)拡大バイオリンを奏でる増田太郎さん=横浜市戸塚区、横浜市立豊田中学校
【神奈川】全盲のバイオリニスト 増田太郎さん(6/23)
 全盲のバイオリニスト、増田太郎さんが22日、横浜市立豊田中学校(戸塚区)を訪れ、ライブと講演をした。約680人の生徒を前に美しい音色を披露した増田さんは「自分自身の可能性に勝手にふたをしないで」と呼びかけた。

【長野】「買い物弱者」支援へ県がモデル事業(6/21)
 大型スーパーが提供する野菜や魚を、商店街の空き店舗で販売します――。高齢者を中心とした買い物弱者が社会問題となる中、県は県内3地区でモデル事業を展開し、弱者解消への糸口を探ることになった。佐久市の商店街では、大手スーパー・イオンと地元商店街振興組合が連携した試みに取り組む。モデル事業は、経済研究所や商店街関係者、消費者団体などのメンバーが参加し、20日開かれた支援委員会で示された。

【鳥取】隔たりない社会 託す1枚(6/21)
 写真甲子園など様々な写真コンテストで受賞歴を誇る鳥取聾(ろう)学校写真部(鳥取市)を創部から約30年にわたって支えた元教諭の高田啓一さん(62)。2年前に退職し、全国の卒業生を訪ね歩いた。障害者への社会の理解不足から苦しむ教え子たち。在学中と現在の写真とともに、苦しみと悩みをつづった写真展「あれから」を東京と大阪で開く。新宿ニコンサロン(東京都新宿区)で6月28日から7月11日まで、大阪ニコンサロン(大阪市北区)で7月14日から20日まで開催される。

【長崎】児童虐待の相談 3割増261件(6/24)
 県長崎こども・女性・障害者支援センターで児童虐待を担当している児童福祉司の女性(34)に、虐待された子どもや虐待する親の傷について聞いた。「親だって本当は生きにくさを感じているはず。子も親も、私だって悩んでいます。当事者だけでなく、ご近所、学校、みんなで子どもを守ろうとする意識が、虐待を減らすと思います」

【長崎】障害者手帳 不適切処理 54件(6/23)
 南島原市は22日、農村整備課の男性職員(34)が地域福祉課時代の2008年7月から約1年間、精神障害者保健福祉手帳の交付・更新事務で、提出された更新の申請書を県の機関に送らず、手帳の有効期限を虚偽記載するなど54件の不適切な処理をしていたと発表した。

【大分】視覚障害者がキャンプ(6/17)
 中津市の視覚障害者12人がこのほど、ボランティア15人の協力を得て、同市本耶馬渓町の西谷温泉で1泊のキャンプを楽しんだ。「生まれて初めて」という人も4人おり、53歳から82歳の参加者は子どものように歓声を上げていた。