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人権・校閲

こちら人権情報局

沖縄を愚弄しているのは誰か

山村 隆雄

拡大仲井真弘多沖縄県知事(右端)に謝罪する一川保夫防衛相=2日、沖縄県庁
■沖縄防衛局長「暴言」問題

 沖縄県名護市辺野古への米軍普天間飛行場の代替施設建設に向け、政府が環境影響評価(アセスメント)の評価書の提出時期を明言しない理由について、田中聡・沖縄防衛局長が「これから犯す前に犯しますよと言いますか」といった趣旨の発言をしていたことが分かりました(11/29夕刊)。

 一川保夫防衛相は不適切な発言をしたとして、29日に同局長を更迭(11/30朝刊)、野田佳彦首相も30日の会見で「沖縄県民の気持ちを深く傷つけたことに心からおわび申し上げたい」と謝罪しました(11/30夕刊)。

 ところが1日に一川防衛相が、1995年に沖縄県で起きた米兵による少女暴行事件について「正確な中身を詳細には知らない」と参院で答弁(12/2朝刊)したことがさらに反発を呼び、自民・公明両党が一川防衛相の問責決議案を参院に提出することを確認(12/2夕刊)。防衛相の進退が注目される事態になっています。

拡大沖縄県で抗議の総決起集会が開かれたことを伝える記事=1996年10月22日付東京本社版朝刊1面
■沖縄の少女暴行事件
 県の面積の1割を米軍基地が占める沖縄では、1972年の日本復帰以降も米兵による事件・事故が続いていました。特に1995年に起きた3人の 米兵による少女暴行事件は反基地感情に火をつけ、抗議の総決起集会には約8万5千人が参加しました。この動きが1996年の日米両政府による米軍普天間飛行場の返還合意につながりました。

 沖縄防衛局長の性暴力に例えた発言と防衛相の「少女暴行事件について詳細には知らない」という発言に対する沖縄県の怒りは大きく、各地で市民団体の抗議運動が相次いだほか、県を始め県内各地の議会でも抗議決議を可決しています(12/3朝刊記事1記事2)。

 30日に防衛事務次官を派遣し仲井真弘多(ひろかず)沖縄県知事に謝罪し、2日には自らも沖縄県庁を訪れ知事に謝罪しましたが、仲井真知事は「県民の尊厳を深く傷つけた」「極めて、極めて遺憾だ」などと述べ、会談を8分で打ち切りました(12/3朝刊)。

■政府に対する沖縄の怒り
 沖縄県民の怒りをさらに増幅しているのは、民主党政権の沖縄基地問題に対する姿勢のようです。2009年に鳩山由紀夫元首相が、普天間返還に伴う移設先について「最低でも県外」と述べたのにその後迷走したのは記憶に新しいところです。今回も防衛局長の発言が発覚した29日に、藤村修官房長官が環境影響評価書の年内提出方針を改めて強調し、一川防衛相も「今年中に提出できるよう準備を進めるのはいささかも変わっていない」と述べ、沖縄の人たちの神経を逆なでしました。

 那覇総局の谷津憲郎記者は12月3日付朝刊でこう書いています。「発言が不適切だという指摘は、その通りだ。だが、根っこにある問題も見過ごしてはいけない。国は辺野古で、発言通りの行為をやろうとしてきた。県内移設を拒む沖縄県民の意思に反し、『理解を得て』と言いながら是非を許さず、金を出すからとなだめ、最後は力ずくで計画を進める」「野田政権は『事実だったら言語道断』『心よりおわび申し上げる』とトップが言いながら、外務省・防衛省は1日の審議官級協議で米国に年内に評価書提出の約束履行を表明する」「騒ぎの末に政府が謝ったのは、自分たちの行為ではなく、言葉の使い方だけだ。本当に沖縄を愚弄(ぐろう)しているのは誰か。本土に目を向けてほしいのは、むしろそちらの方だ」

■オフレコ問題
 端緒となった沖縄防衛局長の発言は、報道しないことを前提とした「オフレコ」の場で出たものでした。これを琉球新報が11月29日付朝刊で報じたことで問題が発覚しました。朝日新聞でもこの経緯について30日付朝刊で報道しています。

 この中で、琉球新報が「人権感覚を疑う内容の上、重要な辺野古移設にかかわる発言で、県民に伝えるべきニュースだ」と判断したことなどが紹介されています。

(山村隆雄)

「知る権利」優先 本紙、オフレコ懇談報道(11/30琉球新報)

人権感覚欠く発言 報道すべきと判断 本紙編集局長(11/30琉球新報)