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人権・校閲

こちら人権情報局

「オッサンの政治」でいいのか?

■まだまだ少ない女性候補

 オッサンばかりの政治には飽きた--と結成された「全日本おばちゃん党」が11月23日に大阪市で始動式を開きました(東京新聞11月24日)。実際に選挙に候補者を立てたわけではありませんが、「税金はあるとこから取ってや。けど、ちゃんと使うなら、ケチらへんわ」「力の弱いもん、声が小さいもんが大切にされる社会がええねん」といった「全日本おばちゃん党 ハッサク」を掲げてフェイスブックで交流を広げ、「党員」は女性ばかり1000人以上になったそうです(毎日新聞12月5日

 政治の世界に女性が少ないことは、以前から問題となっていました。12月4日に公示された衆院総選挙でも、候補者1504人のうち、女性は225人(15.0%)に過ぎません。総選挙と同じ16日投開票の東京都知事選は、女性候補ゼロです。

万歳する国会議員拡大衆院解散で万歳をする議員たち。女性の姿は少ない
 2009年8月30日に投開票された前回衆院選では、候補者1374人のうち、女性は229人で16.7%でしたから、「オッサン度」はあがったことになります。

 それ以前の衆院選を見ると、1996年は153人、2000年は202人、03年は149人、05年は147人でした。93年までは女性の候補者が100人にも満たなかったのに比べると、大幅に増えてはいます。しかし、当選者に占める女性の割合は低く、過去最高の比率となった09年でも当選者480人のうち54人、11.3%でした。

 

 今回の衆院選で新しく登場した政党でも、日本維新の会は男性中心だという声が公示前からありました。10月初めの時点で、国会議員9人と党幹部はすべて男性。公約の維新八策にも女性の社会進出や子育てを支援する政策はほとんど盛り込まれていないとして、東京新聞は10月3日の記事で「組織的にも政策的にも『女性の視点』はほぼゼロ」と指摘しました。

 11月17日に発表された維新の立候補予定者は47人中女性4人で「肩書に頼る古い男性社会そのまま」(女性生活アナリスト山本貴代さん)と批判されました(朝日新聞11月18日)。結局、実際に立候補した172人中、女性は12人で7.0%です。

 一方、日本未来の党の嘉田由紀子代表は、公約発表の記者会見で「戦後も男性中心の社会は変わらなかった」として、女性目線で平和でリベラルな社会をつくりたいという意向を示したとのことです(東京新聞12月3日)。しかし、その未来でも、候補者121人中、女性は28人で23.1%と4分の1にも達していません。ほかに女性の割合が比較的高いのは、共産党が322人中80人で24.8%、大地が7人中2人で28.6%などです。

 また、民主党は267人中37人で13.9%、自民党は337人中27人で8.0%、公明党は54人中4人で7.4%となっています。

 こうした状況に、「政界がまず手本を見せなければ、企業や教育機関で女性活躍の場は広がらない」(元文相の赤松良子さん)、「政党乱立や合流劇などの政局は男社会の権力争いにしか見えない」「女性や若者の労働環境や待遇の改善を争点にして、どの候補者に投票するか決めたいのに、受け皿となる政党がない」(「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク」代表の越堂静子さん)(日本経済新聞11月28日夕刊「女性を生かす一票に」)といった声が出ています。

■「人数割当制を」推進求める声も

 そもそも日本は女性の社会進出が遅れています。世界経済フォーラムの「男女格差報告」2012年版によると、日本は135カ国のうち101位で、前年より三つ順位を落としています(朝日新聞10月25日)。女性の議員や企業幹部の少なさが低くランクされた原因となっています。

 経済の面では、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスティーヌ・ラガルドさんが、日本の社会でもっと女性が活用されるべきだと述べています。「女性が働き手にならないというのは考えられない。女性がもっと活躍すれば、日本経済は刺激されるはずだ」(朝日新聞10月4日)。

 ほかにも、日本のノーベル科学賞受賞者には女性がいない(東京新聞11月13日「こちら編集委員室」)、職場の中に、見えない女性差別がある(毎日新聞11月2日「くらしの明日 私の社会保障論」)という問題。女性が4割近くを占めるサッカー・Jリーグの観戦者の中でも、「女にはサッカーがわからない」という空気(毎日新聞11月15日「発信箱」)や、ファン文化が男性優位(毎日新聞11月17日夕刊「スポーツを考える」)といった指摘があります。

 欧州企業でも幹部の女性と男性の割合が半々というわけではありませんが、女性を増やそうという意思は明確です。欧州委員会は、域内の上場企業に対して、2020年までに非常勤役員の40%を女性にすることを義務づける指令をまとめています(朝日新聞11月15日)。

 日本の政治の世界でも、女性を増やすために、候補者の一定割合を女性にするクオータ制(人数割当制)を取り入れることが考えられます。

 朝日新聞の社説(11月27日)は「各政党は、女性議員をふやす手立てを思い切って講じるべきだ」として、比例区名簿の「半分は女性」を目指せと訴えました。東京新聞の社説(12月3日)も、クオータ制に言及しています(「女性の国政進出 未来のために増やしたい」)。

 今年6月には、国内の主要な女性団体が集まり「クオータ制を推進する会」を結成しました。法政大学教授の衛藤幹子さんによると、「クオータ制を実施した国は(女性議員が)確実に増えた」「女性たちも『男女平等は責任の平等』という意識を持った」(東京新聞11月24日夕刊)とのことです。

 女性団体などでつくる「『ジェンダー平等政策』を求める会」は、各政党へのアンケート結果を発表しました。配偶者控除、婚外子や性的マイノリティーへの差別問題で、意識の差が表れたということです(毎日新聞12月1日夕刊「性差別解消へ意識の差大きく」)。

 「女性の視点と男性の視点」と、単純に二分はできませんが、多様な声が政治に反映されることは必要だと思います。「おばちゃん」だけでなく、いろいろなバックグラウンドを持つ女性の参加が望ましいでしょう。もちろん、いろいろな男性や、性的マイノリティーの意見も取り入れなければなりません。

 「おばちゃん党」の谷口真由美さん(大阪国際大学准教授)は、現在の政治状況を「マッチョ的で旧来の古い体質に回帰している」と見て、「勉強会などでおばちゃんのボトムアップを図り、政治家をしっかりと監視していきたい」と言っています(毎日RT11月24日)。

 今回の衆院選の女性の候補者の数225人は、全480議席の半分にも及びません。次回の選挙までに、より多くの女性が立候補できるような環境が整うことを期待します。

(松沢明広)

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