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人権・校閲

こちら人権情報局

性的マイノリティーと政治

青山 絵美

■オバマ大統領の歴史的演説

 米国のオバマ大統領が1月21日、2期目の就任演説をおこないました。演説の中でオバマ大統領は、すべての人々の平等と人権の尊重を訴えました(1/23朝日新聞「オバマ米大統領就任演説全文」)。

 

 なかでも、「史上初」と注目されたのは、同性愛者の権利拡大にふれたことです(1/23朝日新聞「理念高らか、険しい道 オバマ米大統領、2期目就任式 同性愛者の権利強調」)。オバマ大統領は、万民の真の平等を実現するまでの道のりを「旅」とたとえ、次のように述べました。

 

オバマ拡大ワシントンの米連邦議会で、一般教書演説をするオバマ大統領=2月12日、ランハム裕子氏撮影
 「私たちの旅路は、私たちの同性愛の兄弟や姉妹が法の下で他の誰とも同じように扱われるようになるまで終わりません。もし私たちが本当に生まれながらにして平等なら、私たちがお互いに捧げ合う愛は、同様に平等であるはずだからです」

 

 発言は、女性の人権、移民の人権への言及と並べてなされました。シンプルな理論だからこそ、説得的な言葉です。1月23日付の朝日新聞朝刊は、「ゲイという言葉に応えて観衆が一斉に旗を振ったのがうれしく、泣きそうになった」と、10年来の同性パートナーと一緒に就任式に来ていた、ケイト・クロスさん(45)の言葉を伝えました。

 

■日本の選挙では争点にならず

 同性婚は、大統領選の争点でもありました。同性婚反対の立場を示す共和党陣営に対し、オバマ氏は、昨年5月、同性婚支持を明言。現職大統領としては初のことでした(5/10朝日新聞「オバマ氏、同性婚支持を表明 歴代米大統領で初めて」)。

 一方、昨年12月に日本でおこなわれた衆院選では、残念ながら、性的マイノリティーに関する政策は、米大統領選ほど大きな争点にはなりませんでした。しかし、各党の考えに違いがないわけではありません。

 性的マイノリティーの人権支援NPO「レインボープライド愛媛」が、衆院選前に立候補予定者や政党に対しておこなったアンケートがあります(レインボープライド愛媛・性的マイノリティー政策アンケート政党別回答)。ウェブサイトで公開されている7党(民主党、自民党、公明党、共産党、社民党、国民新党、日本維新の会)の回答には、性的マイノリティーに対する、各党の驚くほど率直な見解があらわれています。

 たとえば、「人権問題として同性愛者や性同一性障害者ら性的少数者について取り組んでいくことをどう思うか」の問いに、ほとんどの政党が「人権問題として積極的な取り組みが必要」との答えを返すなか、自民党は「人権問題として取り組まなくてよい」と答えました。続く性的マイノリティーに関する施策についての問いにも「性同一性障害者への施策は必要だが、同性愛者へは必要がない」と厳しい回答です。

 

 同性婚に関しては、共産党、社民党、日本維新の会の3党が、同性のペアのための何らかの形のパートナー制度を用意すべきと回答しました。自民党は「結婚の制度は異性間のものであるべき」。民主党、国民新党、公明党ははっきりした判断を避けました。

 

 アンケートの回答からは、自民党の考えが性的マイノリティーに対して冷たいものであることがうかがえます。選挙結果は、自民党の大勝でした。しかし、こうした政策に対する議論が広くなされたわけではありません。ただ、これまでは、各党の政策の方向さえあまり知られてきませんでした。NPOの取り組みにより、議論の材料がやっと俎上にのせられたと言えそうです。知ることがまず第一歩だとすると、報道が担う役割は非常に大きいと自戒もします。

 

 レインボープライド愛媛は、これまでも同様のアンケートを何度かおこなってきましたが、候補者だけでなく政党にも考えを尋ねたのは今回が初めてだそうです。代表男性(42)は「愕然とした回答もあったが、思った以上に進んだ考え方をしている政党もあった。広く知ってもらうことで考えるきっかけになれば」と話します。

 

 初めてアンケートを送付した05年衆院選の際は、候補者からの返答がゼロだったそうです。「それを考えると、今回多くの政党から反応があったことは進歩。最初は、はっきり言ってしまうと無視されていた。活動を続け、認知されたことも大きかったと思う」。発信し続ける重要性も感じていると言います。

 

■だれもが尊重される社会に

 米国では、大統領選前の時点で、7州・地区で同性婚が認められていました。大統領選に合わせておこなわれた住民投票により、さらにメーン州など3州で承認されました(11/8AFPBB「米2州で大麻合法化、同性婚も3州で承認 6日の住民投票で」)。これまでの7州・地区は、議会や裁判を通じての実現で、住民投票で同性婚が認められたのは初のことだそうです。CNNは、「意識の変化」を報じています(11/8CNN「米メーン州など同性婚認める 住民投票で初、意識の変化反映」)。

 

 冒頭で引用したオバマ大統領の演説の続きにはこうあります。

 

「(万民の平等を追求することは)世の中のあらゆることについて意見が一致することを必要とするものではありません。自由を全く同じように定義したり、幸福へのまったく同じ道を追求したりすることを意味するものではないのです」

 

 自分の考えにたとえ沿うものではなくても、多様な生き方を尊重する。そのことが当たり前に日本でも広がっていくことを願います。

(青山絵美)

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