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人権・校閲

こちら人権情報局

「教育こそ」マララさんの願い

青山 絵美

■国連演説で「本とペンが世界を変える」

 7月12日、ニューヨークの国連本部でパキスタンの少女、マララ・ユスフザイさん(16)の演説が行われました(7/13朝日新聞「マララさん『教育が全てを解決』 銃撃乗り越え国連演説」、「マララさんの国連演説要旨」、8/8朝日新聞「(@ニューヨーク)心動かすマララさんの言葉」)。

 マララさんは、女子教育の必要性を訴えたことによって、昨年10月、銃撃され、瀕死の重傷を負いました。意識不明の状態から奇跡的に回復し、現在は治療先の英国の女子校で学んでいるそうです。
 
 演説の中で、マララさんは、暴力に屈しない意思を表明し、教育の必要性を強く訴えました。

 「本とペンを手に取りましょう。それが一番強い武器。一人の子ども、先生、そして本とペンが世界を変えるのです。教育こそが、すべてを解決するのです」との言葉は、多くの人の共感を呼んでいます。

■学校へ行けない子が6100万人
 
 ユネスコのEFAグローバルモニタリングレポート2012によると、2010年時点で、世界では小学校に行けない子どもは6100万人、学校に行けずに大人になり、文字の読み書きができない人 (成人非識字者)は7億7500万人います。

 彼らが学校に行けない要因は様々です。

 家庭が貧しいために、子ども自身が働き手になっていたり、学校に通うために必要なお金を用意できなかったりする場合。適切な学校が近くになかったり、学校へ通う道のりが安全でなかったりする場合。戦争や紛争のために、学校がなくなってしまうこともあります。

 マララさんは、国連演説の中で、潘基文事務総長に向けて「教育には平和が欠かせません」と語りかけました。世界の至るところに、戦争やテロなどのために教育の機会が奪われている子どもたちがいることを訴えたのです。

  教育を受けられないことは、様々な不利益をもたらします。

 たとえば、基本的な読み書き計算を学ぶ機会さえ持てない場合、働くために必要な技術や知識を身につけることが難しくなります。安定した収入を得られる仕事に就くのが困難なために、貧しい暮らしから抜け出すことができず、自らの子どもにも教育を与えてやれないという状況も生まれます。

 そうして世界を狭めてしまうことは、ひとりひとりが持つ様々な可能性を逸することにもつながるといえるでしょう。

■9月8日は「国際識字デー」、6日にはイベントも

 
 ユネスコは、9月8日を「国際識字デー」としています。1965年9月8日からイラン・テヘランで行われた世界文部大臣会議で、イランのパーレビ国王が、各国の軍事費の1日分を識字教育にまわすように提案したのをきっかけに生まれました。

 この日には、世界中で、識字教育に関する式典が開かれます。日本でも、9月6日、東京都中央区で、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会など3団体主催の、カンボジアの識字をテーマにしたイベントが開かれます。

 シャンティ国際ボランティア会は、2010年から、国際識字デーに合わせて講演会や報告会などをおこなっています。

 今年のイベントでは、識字普及活動の紹介とともに、読み書きができないことの大変さを知るためのクイズが予定されているそうです。目の前に書いてあることが分からないということを体験することで、識字の重要性について理解を深めることをねらいとしています。

 実際にカンボジアで識字普及に携わったシャンティ国際ボランティア会の鎌倉幸子さんによると、現地では、字が読めないことで危険な目に遭うことが多くあるそうです。

 薬の注意事項が読めないために、苦しんでいる子どもに薬を与えられない母親、看板が読めないために、地雷の埋まっている場所に足を踏み入れてしまう人――教育を受けられないことが、カンボジアでは直接命にかかわっています。

 教育の問題はどうしても衣食住の後回しにされがちだといいますが、「字を知ることは生きること」と鎌倉さんは強調します。

 イベントでは、字を知ったことによって人生がかわった、未来が開けたという人々の事例についても報告されるそうです。

 大々的に式典が開かれる国もあることを考えると、日本では国際識字デーはまだ十分には浸透していないといえるでしょう。世界の教育の現状について知り、考えるきっかけとして広がることを願います。

 シャンティ国際ボランティア会などが主催する国際識字デーイベント「世界が広がる、明日をつくる―カンボジアの過去、今、未来―」の詳細はhttp://sva.or.jp/wp/?p=7070へ。

(青山絵美)