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人権・校閲

こちら人権情報局

盲導犬、介助犬、聴導犬… 補助犬を知っていますか?

■卑劣な犯行、一方で盲導犬への誤解

 7月28日、さいたま市に住む全盲の男性の盲導犬「オスカー」が刃物で刺されてけがをしたとみられる事件が起こりました。朝日新聞の声欄への投書(8月1日付朝日新聞「忠実な盲導犬を虐待するとは」)をきっかけに報道がなされ、盲導犬に対する卑劣な犯行に憤る声が数多く上がりました。

 一方で報道に対する反応の中には、盲導犬に対する誤解も見られました。たとえば、「盲導犬は痛みを感じても鳴かないように訓練されている。かわいそうだ」などという声です。

 八つの盲導犬団体などからなるNPO法人「全国盲導犬施設連合会」は9月初旬、「『何をされてもほえないように訓練されている』という誤った記述が多く見かけられますが、こういった訓練は一切行っていません」という声明を出しました。連合会に加盟する日本盲導犬協会の理事、吉川明さん(62)も「無駄にほえないよう訓練はする。しかし痛みを我慢させるような訓練は一切していない」と話しています。(9月13日付朝日新聞「盲導犬、今こそ知って 埼玉の事件、支援の輪 関係者「『痛くてもほえない』は誤解」)

 身体障害者補助犬法が完全施行されてから11年。法施行前に比べれば盲導犬に関する社会の理解はずいぶんと深まりました。しかし、まだ十分とは言えないようです。

■02年に補助犬法、介助犬と聴導犬も

 身体障害者補助犬法が成立したのは2002年。障害者の生活を助ける犬の利用と育成の促進を目的に制定されました。公共施設や交通機関、民間の宿泊施設や飲食店などは補助犬の同伴を拒んではならないと定めています。

盲導犬拡大日本盲導犬協会の神奈川訓練センターでは現在、約50頭に盲導犬訓練を行っている=横浜市港北区、高橋克典撮影
 補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類を指します。 一番よく知られているのは盲導犬でしょうか。街中で障害物を避けたり曲がり角を教えたりして、視覚障害者の歩行をサポートします。物の運搬や衣服の着脱の手伝いなど、体が不自由な人の日常生活を助けるのが介助犬。聴覚障害者のために電話やブザーの音などを聞き分けて伝えるのが聴導犬です。盲導犬は胴体にハーネス(胴輪)をつけており、介助犬と聴導犬はそれぞれ「介助犬」「聴導犬」という表示をつけています。

 身体障害者補助犬法が制定された当時、盲導犬はすでに道路交通法で法的に規定されていました。しかし介助犬と聴導犬には法的な定めはなく、まだペットの扱いでしかありませんでした。この法律が成立したことによって、介助犬と聴導犬が初めて法的に認められることになりました。

■補助犬は「器物」なのか

 オスカーが刺された事件を受け、全日本盲導犬使用者の会など補助犬の使用者15団体は9月10日、塩崎恭久厚生労働相に罰則強化や再発防止を要望しました。警察は器物損壊容疑で捜査をしていますが、多くの利用者が補助犬を「器物」と扱われることを不満に思い、懲役3年という最高刑は軽すぎると考えているといいます。(9月11日付朝日新聞「盲導犬へ暴力『罰則強化を』 15団体、厚労相に要望」)

補助犬拡大補助犬のマーク
 報道に関する反応の中には、利用者の体の一部の機能を果たす補助犬を傷つける行為には、器物損壊罪ではなく傷害罪を適用できないのか、という意見もみられました。

  盲導犬に対する悪質ないたずらは、残念ながら今回が初めてではありません(8月27日付毎日新聞「盲導犬:たばこの火押しつけ、顔に落書き…心無いいたずら」)。また、補助犬の同伴が拒否されるケースもいまだ後を絶ちません。

 厚生労働省によると、現在の補助犬の実働頭数は、盲導犬1010頭、介助犬72頭、聴導犬54頭と、その数は決して多くはありません(10月1日現在)。

 利用者が安心して補助犬と生活できる社会――。それを実現するためには、社会全体が補助犬への理解を深め、その普及に取り組むことが不可欠なのではないでしょうか。

(竹内美緒)

 【最近の記事から】

◎は朝日新聞本紙、【県名】は朝日新聞地域面、○は他紙などの記事。

■補助犬

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 ■老犬から学んだ癒やしの力 柳本忠二さん(70歳) 人工芝を敷き詰めた介助犬の訓練所に、柳本忠二さん(70)の野太い声が響く。「シット(お座り)」「ウエート(待て)」「テーク(持ってこい)」

介助犬:候補犬を学生が愛情込め育て、補助犬協会に引き渡す 宮崎市の専門学校「立派な介助犬になって」 /宮崎(9/30毎日新聞)

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質問なるほドリ:盲導犬ってほえないの?=回答・山田麻未(9/25毎日新聞)

東京105匹、全国の1割 盲導犬の実働数(9/23東京新聞)