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人権・校閲

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世界エイズデー 理解は深まっているか

 毎年この時期になると、東京都庁の建物が赤くライトアップされます。12月1日の世界エイズデーに合わせて行われるイベントです。今年は11月28日~12月8日の11日間。赤は、HIV(エイズウイルス)の感染者・エイズ患者への理解や支援の意を示すシンボル・レッドリボンからきています。
 世界エイズデーが始まったのは1988年。WHO(世界保健機関)がエイズの蔓延(まんえん)防止、HIV感染者に対する差別や偏見をなくすために制定しました。毎年この日に合わせて、世界各国でイベントが開かれます。

■新たな国内感染者・患者数は過去最多

拡大エイズに対する理解と支援を象徴する「レッドリボン」にちなみ、東京都庁第一本庁舎が赤くライトアップされている=3日、東京都新宿区
 5月の厚生労働省の発表によると、2013年に新たに報告されたHIV感染者・エイズ患者は計1590人と過去最多になりました(5月24日付朝日新聞デジタル「昨年のエイズ感染・患者、過去最多 感染最多は30代」)。

 エイズは、HIVに感染して免疫力が低下し、厚労省が定める特定の疾患を発症した状態を言います。ふつう、HIVに感染してから自覚症状のない状態が数年から十数年間続き、その後エイズを発症します。
 感染経路は主に、性的接触による感染、血液を介した感染、母子感染の三つです。それぞれ、コンドームを使用するなどのセーファーセックスを行う、感染者の血液に直接触れない、母親が投薬治療を受け母乳での育児を避けるなどの予防策があります。HIVは感染力が弱く、日常生活で他人に感染することはありません。
 また、HIVに感染した場合でも、現在では投薬治療でHIVの増殖を防ぎ、免疫力を維持することで日常生活を送ることができます。出産も可能です。ただし、エイズ発症後より発症前に治療を始めた方がより高い効果が得られるため、早期発見が望ましいとされます。

■差別と偏見 今なお

 HIV感染者への差別と偏見を根絶することも、世界エイズデーの大きな目的の一つです。エイズが報道され始めた80年代から90年代にかけて、エイズに対する無理解から世界各地で「エイズパニック」と呼ばれる現象が起きました。エイズの恐怖が過度に叫ばれ、HIV感染者は様々な場面で差別と偏見に苦しめられました。
 当時に比べれば、社会におけるエイズに対する理解は深まったと言えるでしょう。しかし、今なお差別と偏見は根強く残っています。
 厚労省研究班の調査によると、職場での偏見や差別を背景に、HIV感染者の67.6%が、自分が知らない間に周囲に感染を知られることを不安に思っていると回答しています。また、HIV感染を理由に解雇されたケースがあったほか、居づらくなって離職したというケースもありました(東京新聞12月1日付)。
 厚労省は職場におけるガイドラインで、HIVに感染していることは解雇の理由にならないと定めています。8月には、HIV感染を理由に看護師に休職を指示した病院に賠償命令が出されました(8月8日付朝日新聞デジタル「HIV感染で看護師に休職指示 病院側に賠償命令 福岡」)。

■保健所でのHIV検査を

 昨年11月、HIV感染の検査目的で行ったとみられる献血による感染の事例が発覚しました(11月27日付朝日新聞「輸血の男性、献血血液でHIV感染 日赤、検査強化へ」)。しかし、献血を受けても、HIVに感染しているかどうかは本人には知らされません。HIVの感染を調べるためには、保健所で無料のHIV検査を受けることができます。

 保健所でのHIV検査は平日の昼間に行っていることが多いですが、週末や夜間の検査を行っている場所もあります。また、即日検査を実施している場合、陰性ならば採血後1時間ほどで結果が出ます。検査場では名前を聞かれることはなく、番号で呼ばれ、匿名が確保されています。
 日本では、HIVの新規感染報告者のうち約3割が、エイズの発症によって初めて、HIVの感染が発覚しています。先に述べたように、HIVの感染はエイズ発症前に発見することで治療効果が向上します。一日も早い発見と治療のために、ぜひHIV検査に足を運んでみて下さい。

(竹内美緒)