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人権・校閲

こつこつコウエツ

「虹は七色」決めたのはあの有名人?

◆5色、6色、8色も

 雨上がりの空にかかる虹をじっくりと見ると、そこにはいくつの色があるでしょうか? 赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫の7色というのが一般的です。しかし、実際に目で見ると、本当に七つも区別できるでしょうか。赤、緑、青あたりは分かりやすいですが、だいだいや藍あたりは怪しいものです。実際に「虹は7色」と書いてしまうとまずい場合もあります。

 ドイツで「反イスラムデモ」に抗議する集会が行われたという記事。その記事に付く写真の説明に、「7色の旗を振り、『人間の尊厳を冒してはならない』と書いた横断幕を掲げる人たち」とありました。たくさんの色がはっきりとした境界なしに並ぶ虹は、平和や共存のシンボルとして使われます。その虹色の旗を振って、イスラム教徒との共存を訴えているわけです。
 ところが写真をよく見ると、旗には赤、だいだい、黄、緑、青、紫の6色しかありません。この写真は海外の通信社から配信されたものでしたが、その英語の説明を見ても「rainbow flag」としか書いてありません。記者が日本語の説明をつけるときに、「虹といえば7色」と思い込んで、うっかり「7色の旗」と書いてしまったようです。紙面では「虹色の旗」とほぼ原文どおりの表現になりました。

 そもそも、海外では虹といえば7色という感覚がなかったりもします。科学的な説明をするときには7色とされることが多いのですが、欧米では虹は何色かと聞かれると6色と答える人が多いそうです。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの性的少数者)のシンボルとして使われるレインボーフラッグは、もともと8色としてデザインされましたが、今は6色のものが使われています。

 日本でも昔から7色と思われていたわけではありません。中国や日本の古い書物には、虹の色として「紅緑」としているものが多く、室町時代の書物「詩学大成抄」には「虹は五色なぞ」とあったりします。
 ところが、明治20年代に成立した日本最初の国語辞書「言海」を見ると、「七色(紫、紺、青、緑、黄、柑、赤)」とあり、それ以降のほとんどの辞書でも「虹は7色」と書かれているのです。

 なぜ「虹は7色」という認識が広まったかというと、どうやら大科学者、ニュートンのせいのようです。光を研究していたニュートンは、7を自然界において調和のとれた数だと考えており、それまであまり一般的ではなかった藍をつけ足したのでした。日本でも幕末から蘭学を通してニュートンの研究が知られ、「虹は7色」という認識が急速に広まったようです。