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人権・校閲

こちら人権情報局

知っていますか? 「パタニティー・ハラスメント」

■マタニティー・ハラスメント 初の最高裁判断

 昨年10月、最高裁は妊娠や出産を理由とした職場での降格は、原則として男女雇用機会均等法に違反し無効であるとの初の判断を示しました(2014年10月24日付朝日新聞デジタル「妊娠で降格、違法判断」)。 
 
 男女雇用機会均等法では、妊娠や出産を理由とした不利益な取り扱いを禁止しています。解雇や退職勧奨はもちろん、正社員をパート労働者などの非正社員にするような労働契約内容の変更を強要することや、降格、減給、賞与の不利益な算定なども禁じられています。
 
 しかし、実際には妊娠を機に退職を迫られるなどの例が後を絶ちません。こうした、妊娠や出産した女性に対する嫌がらせや不当な待遇は「マタニティー・ハラスメント」、略して「マタハラ」とも呼ばれ、多くの女性を苦しめています。労働組合の連合が2014年5月に行った調査では、妊娠を経験した女性の4人に1人が「マタニティー・ハラスメントに該当する被害を受けたことがある」と回答しています。

■男性の育児参加阻む パタニティー・ハラスメント

 マタニティー・ハラスメントに関連して、「パタニティー・ハラスメント」という言葉があるのをご存じでしょうか。「パタニティー(paternity)」の意味は父であること。育児のために育休や時短勤務を希望する男性に対して行われる嫌がらせや不当な待遇のことを言います。連合が13年に行った調査では、子どもがいる男性の11.6%が「職場でパタニティー・ハラスメントをされた経験がある」と答えています。
 
 ライフネット生命保険が既婚者を対象に12年から13年にかけて行った調査では、子どもの誕生時に育児休暇を取得したいかという問いに、「あてはまる」と回答した男性は6割超。しかし、男性が育児休業を取得できる雰囲気があるかという問いに対しては、「あてはまる」と答えた人は23.6%にとどまりました。
 
 厚生労働省の調査でも、ここ数年の男性の育休取得率は1~2%台と低い水準で推移しています。日経新聞によると、男性が育休を取得した場合でも、6割が2週間未満、8割が1カ月未満と短期間の取得にとどまっているといいます(2013年8月5日付)。

■パパもママも「仕事も育児も」が選べる社会に

 マタニティー・ハラスメントやパタニティー・ハラスメントの背景には、「男は仕事、女は家庭」といった価値観がいまだに根強くあることがうかがえます。一方で、育児休暇の取得を希望する男性が増えているように、変化の兆しも見えつつあります。
 
 男女雇用機会均等法が制定されてから今年で30年。共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回るようになって20年近くになります。「男は仕事、女は家庭」が主流の考え方であった頃から、社会のあり方は大きく変わっています。
 
 「仕事も育児も」。性別にかかわらず、誰もがそれを選択肢の一つとしてごく当たり前に選ぶことができるためには、どうすればいいのか。社会全体で考えていくことが必要ではないでしょうか。

(竹内美緒)