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観字紀行

「釜」か「竈」か~北へ西へ~ 塩釜編前編

薬師 知美

 新しい常用漢字表が11月30日に内閣告示されました。憂鬱の「鬱」とか語彙の「彙」とか、難しい字も入りました。そこで、突然ですが、みなさんに質問です。常用漢字ではありませんが、「竈」という字が読めますか? 読めた方も、書けますか?

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 この漢字は「かま」「かまど」と読みます。こんな難しい字を使う市の名前があると聞き、前シリーズの青森・岩手に続き、東北へ旅立ちます。行き先は宮城県塩竈市です。

 さて朝日新聞の紙面では「釜」を使い「塩釜市」と書くことに決めています。「釜」と「竈」では形がずいぶん違います。これも異体字? 市はなぜこんな難しい字を使っているの? など疑問を胸に、秋のみちのくへ出発!

 快晴の東京駅から、東北新幹線「やまびこ」に乗り2時間で仙台へ。その間に「釜」「竈」の字を予習しておきましょう。

 まず「釜」は「かま」。ごはんを炊くおかまのことです。辞書には「飯を炊いたり、湯を沸かしたりする器具」(新明解国語辞典)とあります。いっぽうの「竈」は、辞書では「かま」の読みで「上に釜・なべを掛けて煮炊きをする設備。かまど」とあり、「かまど」の読みの項では「《『ど』は『と』の連濁で所の意》昔、釜を掛けた所。土・れんがなどで築く。へっつい。」(同) とあります。この二つの字は、このコーナーでたびたび出てくる異体字ではありません。異体字というのは、字体が異なる同じ字のことですが、釜と竈は音読みがそれぞれ「フ」と「ソウ」で、同じ字ではありません。というところまでは分かったものの、はたして答えは見つかるのでしょうか……。と考えていたところで仙台に到着。まずは名物の牛タンで腹ごしらえしてから、塩釜へ向かいましょう。

 仙台からJRの在来線、仙石線(せんせきせん)に乗り換えて、約30分で本塩釜駅に着きました。この先に、日本三景の一つである松島や、石巻があります。漫画家・石ノ森章太郎さんを記念した「石ノ森萬画館」が石巻にあることから、仙石線は週末、石ノ森さんのマンガキャラクターが描かれた「マンガッタンライナー」という電車が走っているそうです。残念ですが、今回は時間が合わなくて乗車できませんでした。

 さて塩釜市(ここから市の名前は紙面と同じ表記にします)には、仙石線の「西塩釜」「本塩釜」「東塩釜」、東北線の「塩釜」と、「塩釜」の付く駅が四つもあります。が、どれも漢字は「釜」を使っています。

拡大本塩釜駅の看板
拡大駅の中で「鹽竈」を発見

 駅看板は「釜」ですが、本塩釜駅のホームにさっそく「竈」の字を発見。名所案内に「鹽竈神社」とあります。「釜」だけでなく「塩」も難しい!(この漢字が実際に使われているところを私は初めて見ました)。ちなみに「鹽」は「塩」の古い形です。