文字
観字紀行
(2011/10/21)
関ケ原を経て、物語はいよいよ佳境。最後の大戦(おおいくさ)、「大坂冬の陣」「夏の陣」が目前です……というのは、大河ドラマの話。今年の大河ドラマ「江(ごう)」は、織田信長を伯父にもち、豊臣秀吉の養女となり、徳川家康を義父とした江の一生を描いた話ですが、この3英傑が3人とも、大きな関わりを持った場所「清須」が今回の旅の舞台です。
愛知県清須市は、名古屋市の北西側に隣接するまちです。清須といえば、歴史ファンにはおなじみの、日本酒好きの方にも「鬼ころし」でおなじみ(?)の清洲城。ん? 清「洲」? そうです、今回は「清須」と「清洲」の話です。
この清須市は2005年7月、西枇杷島(にしびわじま)町、清洲町、新川町の3町が合併してできました(その後の09年10月には春日〈はるひ〉町を編入しています)。つまり清「洲」町を含む3町が合併して、清「須」市になったのです。いったいどうしてこんなことになったのでしょう?
ほかにも、清須市の地図を眺めると、鉄道の駅は「清洲」や「新清洲」だし、清須市清洲という住所があるし、高速道路の「清洲」ジャンクション、「清洲東」インターチェンジのすぐそばに「清須」出入り口……ほんまかいな、このうちいくつかは、もしかして地図の誤植? という気もしてしまいます。こうなったらこの目で確かめるしかない! というわけで、名古屋に向かいました。
名古屋に着き、さっそく名物で腹ごしらえ。名古屋駅には各ホームに立ち食いきしめん屋さんがあり、その一つで安くておいしい本場のきしめんをいただきました。
腹ごしらえをしたら、名古屋鉄道名古屋本線に乗って約10分。降り立ったのは新清洲駅です。
駅は旧清洲町内にありますが、清須市役所は合併した3町のうちの旧新川町役場が使われており、旧清洲町役場は清須市役所清洲庁舎という、いきなりややこしい状況です。
新清洲の駅から北東に位置し、信長が天下統一の野望の第一歩を踏み出した清洲城へ、謎ときの第一歩として行ってみましょう。信長はこの城から桶狭間の戦いに出陣したのです。
歩いて5分ほどで川に出ました。五条川です。川沿いの道を進むと、あちこちに「江と三英傑 絆のまち清須」ののぼりが立っています。ここでは「清須」ですね。
途中に清洲公園がありました。中に信長の銅像が立っており、その視線は桶狭間の方角を向いているのだそうです。川のそばには「清洲古城趾」の石碑があります。めざす城はまだ先ですが、昔のお城はこのあたりだったのでしょうか。
さらに歩くと、清洲城のすぐそばにJR東海道線と東海道新幹線が走っています。線路をくぐって見えた城の姿に、私は見覚えがありました。名古屋から西へ向かう新幹線から間近に見える、赤い橋が特徴的な城が清洲城だったのです。帰省のたびに見かけたあのお城でした。
新幹線からあまりに近く、見た目に新しいことから、てっきり観光用か個人所有のお城だと思っていましたが、由緒ある清洲城だったのですね。