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観字紀行

「じょう」の条件は? 四條畷市を行く 前編

永川 佳幸

 今回は、大阪市から東へ10キロ余りの位置にある大阪府四條畷(しじょうなわて)市にやって来ました。大阪市内へ電車で乗り換えなしで30分ほどという便の良さから、ベッドタウンとして静かな町並みが広がっています。

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 10年ほど前、私はこの四條畷市にある高校に通っていました。勉強に励み、部活動で汗を流し、友人と語り合い……、思い出深い町です。しかし、全国的な知名度で言えばまだまだ。四條畷なんて聞いたことがないという方が多いのではないでしょうか。こんなことを言うのもなんですが、観光名所と呼べるものがほとんどないのがつらいところです。

 そこで、この町で青春時代を過ごしたのも何かの縁。市の知名度アップにぜひとも貢献したい!と思い、漢字紀行でとりあげることにしました。

 では、そんな四條畷市に潜む漢字にまつわるエピソードとは……。まずは下の写真を見ていただきましょう。

拡大四條畷と四条畷

 一目瞭然ですね。同じ「しじょうなわて」なのに、旧字体の「條」と新字体の「条」が使われています。

 なぜそんな使い分けをしているのか。校閲記者になった今でこそ、「自治体に古くからの歴史があって、伝統的な旧字体を使い続けているのかな」と想像がつきます。実際、四條畷市は旧字体の「條」を採用しています。

 ですが、10年前の私は遊ぶことしか頭になかった高校生。漢字についての知識があったとは言えません。二つの「じょう」を前にして、「なんで一緒の名前やのに、違う字使ってんねん」という疑問が常に頭の中を駆け巡る毎日でした。未熟な私にとって「形の違う漢字は別の字」でしかなかったのです。

 若き私を悩ませた四條畷。それを見透かすかのように、町には二つの「じょう」があふれています。

拡大電柱の住所表示
拡大不動産会社の看板

拡大バスの停留所
拡大霊園の案内板

 中には、同じ団体名なのに字体にばらつきがあるものもあります。わざわざ使い分ける理由はないでしょうから、特別意識はしていないのでしょうね。

拡大どっちが正しい? こちらは「条」
拡大もう一方は「條」が使われています