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観字紀行

あなたのそばに変体がな(3)

桑田 真

 変体がなを集めている今回の観字紀行。これまで主にお店の看板をみてきましたが、和菓子などの包装にも、変体がなをあしらったものがあります。

 日蓮ゆかりの本門寺の門前町、東京・池上。東急池上線の池上駅から本門寺までの500メートルほどの参道には、名物のくず餅のお店が何軒かあります。1752(宝暦2)年創業という「浅野屋」で一つ買ってみました。中には、くず餅と黒蜜の瓶のほかに、「きな 」と書かれた小袋が入っていました。2人前460円で、たっぷり食べられました。

拡大くず餅のきな粉
拡大きな粉と黒蜜の黄金コンビ

拡大わりばしの「おてもと」=東京都荒川区の「南千住砂場」

拡大「雷おこし」の看板=東京都台東区
拡大パッケージにも変体がな。詰め合わせの小袋525円

 「 」や「う ぎ」と並んで見かける頻度が高いのが、割り箸の袋に書かれた「御手 」(おてもと)です。「 」は毛、「 」は登をもとにした変体がなです。

 浅草では、名物「雷おこし」のお店で大きく「お し」とありました。看板のほか、商品のパッケージにもしっかり印刷されています。定番中の定番のお土産ですが、小分けにされて様々な味が楽しめる詰め合わせなど、品ぞろえも充実していました。

 さらに歩くと、せんべいのお店でも変体がなをみつけました。浅草ROXそばにある「入山せんべい」。店内はせんべいを焼く熱気で暑いほどです。1914(大正3)年からつづく老舗で、商品はしょうゆで味付けした1種類のみ。手作りだけに、1枚1枚形も焦げ具合も違いますが、それがいい味を出しています。とても硬いのですが、かみ応えも味わいでしょう。ガリッとほおばると、ほのかに焦げたしょうゆと米の香ばしさが広がります。13枚入り(1800円)の缶の中には、隙間なくせんべいが詰められていました。これも職人芸でしょうか。看板や缶には「入山せん 」とありますが、包装紙には「 」とも書かれていました。「 」は遍、「 」は以、「 」は里、「 」は満がそれぞれ元の字です。

拡大しょうゆが香ばしい「入山せんべい」
拡大包装紙は「いりやま」も変体がなで書かれている

拡大ちん里う堂のブラウニー。4個入り600円

 こちらは都内の百貨店で見つけました。

白地にピンクで「CHINRIU」と刻まれたおしゃれな小箱。神奈川県小田原市の梅干しメーカー・「ちん う堂」製のブラウニーです。箱の裏面に変体がなが使われていました。HPによると、店の歴史は江戸時代の嘉永年間までさかのぼることができるそうです。梅のプロが作るブラウニーだけに、当然梅干しが入っています。梅の甘酸っぱさがチョコレートの甘みを引き立て、やみつきになりそうな味でした。

拡大店名に変体がな

拡大倉敷銘菓・むらすずめ。4個入り525円

 こちらは岡山・倉敷銘菓の「 らすずめ」。 は「武」から「む」になる前の形です。薄く焼いた小麦粉の皮の中に、粒あんが入っています。編み笠と稲穂の黄金色からヒントを得てつくられたお菓子だそうです。明治10年に考案されたといい、120年以上の歴史があります。