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観字紀行

これを持ってりゃウマくいく?~左馬を訪ねて(3)

森本 類

拡大オートバイのナンバープレートにあしらわれた左馬

 天童駅構内から道案内、マンホールのデザインなど、街のいたるところで左馬に出あうことができました。さらに探してみると、オートバイのナンバープレートにも発見。特産品の将棋駒に、縁起物の左馬をあしらった天童市らしさあふれるデザインです。2009年7月に交付が始まったこの「ご当地ナンバープレート」、天童市税務課によるとデザインは公募で決められたといいます。年に300枚ほど発行されており、市民には「おおむね好感をもって受け入れられている」そうです。

拡大仕切り弁にも王将と左馬

 「鉄馬」にもあしらわれるほど愛されている左馬。しかし意地悪な見方をすれば、どちらを向いても馬は馬です。振り返ったとたん、ありがたがられるのはなぜでしょうか。

 前回訪ねた将棋駒のお店「栄春堂」で、駒の形をした一枚の紙をいただきました。天童市観光物産課によって「左馬の由来」が四つ紹介されています。

拡大栄春堂では、王将と並んで人気があるのが左馬だとか

1:ウマの逆はマウ(舞う)。古来、舞いはめでたい席で催されることから、縁起のよい招福の駒である

2:左馬の下の部分は巾着の形。口がよく締まって入った金が散逸しないことから、富のシンボルである

3:普通馬は人に引かれるものであるが、左馬は馬に人が引かれて入ってくるようすを表す。客商売にとっては千客万来の招福駒である

4:馬は元来左から乗るもので、左馬は乗馬のシンボル。これを持つ者は競馬に強いという

拡大天童駅で売られていた飾り駒

 おもしろい由来が並びますが、その出自をより具体的に知りたいところです。今度は天童市商工会議所に聞いてみました。「どこから来たのか、誰が初めに書いたのか、いつからあるのか、いずれもはっきりしたことはわかっていません」。桂馬や竜馬といった指し駒とも関係ないのでは、という答えでした。ただ少なくとも現在は、左馬の飾り駒は天童以外ではほとんど作られていないそうです。

拡大栄春堂で買った左馬の根付け

 これだけ地域に溶け込んでいるのに、実は謎の多い左馬のルーツ。ここからは推測を重ねていくしかなさそうです。

 飾り駒や競馬のお守り以外に、左馬が使われることはないのでしょうか。調べていくと、今度は陶器に行き当たりました。

 新しい窯で初めて焼く茶わんに、左馬の字や右を向いた馬を描くことがあるそうです。インターネットで検索してみると、この茶わんでご飯を食べると中風にならないとの言い伝えがある、という記述も見つかりました。