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観字紀行

易しく優しい神社の蚕~会津若松巨木の旅(2)

森 ちさと

 前回は、福島県会津若松市の蚕養国(こがいくに)神社の境内で、「蠶」と「蚕」が共存する不思議な風景を見ました。実は、この二つの漢字、単純に画数が違うというだけではなく、本来はまったく意味の違うものでした。
 「蠶」はもとからカイコをあらわしていましたが、「蚕」は、なんとミミズを意味する文字でした。カイコは神様からいただいた虫、と大事にされましたから、天の虫と書く「蚕」がカイコをあらわすようになったようです。

 使い分けの不思議を解くかぎを探そうと、神社周辺を歩いてみました。

拡大会津バスの蚕養町停留所
 参道を南へ抜けるとすぐバス停がありました。「蚕養町」バス停で使われている漢字は「蚕」でした。

拡大蚕養町の番地表示とお社
 近くにある小さな社と番地表示の看板。こちらも「蚕」です。行政区画名は「蚕養町」ですからこうなります。

拡大この電柱の番地表示は「夭虫」
 電柱に張ってあるものも当然ほとんどが「蚕」でしたが、ひとつ、「蚕」でも「蠶」でもないものが。「天」ではなく「夭」になっています。これは手書きなので、きっと書いた人の書き癖なのでしょう。

拡大夏の大祓のお札は「蠶」
 その近くのお宅は、戸にお札を貼っていましたが、これは「蠶」。夏の大祓のものです。

拡大西の石柱は「蠺」
 神社の西の入り口には神社名を刻んだ石柱がたっていますが、ここにあったのは、天からの授かり物という意識がよく表れている文字でした。
 「蠶」の上に二つある「旡」の字が「天」になっています。「旡」と「天」はまったく違う意味の文字なのですが、この「蠺」もカイコをあらわす漢字です。