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漢字んな話

【晃】 日光を1字に縮め中国風

咲 日光東照宮を素通りしてまで来たかったのがここなの? にあらやま神社かあ。晃 説文
晃 説文
ご隠居 ははは、お咲ちゃん。二荒山と書いて「ふたらさん」って読むんだよ。
咲 あ、そうなんだ。ここが日光の由来と縁が深いの?
ご隠居 うん。中禅寺湖の脇にある男体山の別名を二荒山といって、昔から信仰の対象になってるんだ。
咲 へー、なんで男体山の別名が二荒山になったの?
ご隠居 諸説あるんだが、二荒山っていうのが補陀洛山(ふだらくさん)からきてるっていうんだ。
咲 補陀洛山って?
ご隠居 中国の唐代に玄奘(げんじょう)っていう僧がいて、「西遊記」の元になった旅行記「大唐西域記(だいとうさいいきき)」を残してるんだ。
咲 「西遊記」って、孫悟空(そんごくう)とか出てくるよね。
ご隠居 うん。そこに観音菩薩(かんのんぼさつ)が住む浄土があるといわれるポータラカ山の記述があって、男体山周辺とよく似てるんだって。補陀洛はサンスクリット語のポータラカに漢字を当てたものなんだ。
咲 ふーん。あれ、チベットにもポタラ宮っていうのがあるよね。もしかして……。
ご隠居 そう、由来は同じなんだよ。その「ふだらく」が次第に「ふたら」って発音になって「二荒」。さらにこれを「にこう」と読むようになって「日光」と書くようになったんだな。
咲 えー、読み方と漢字の書き方が、二転三転だね。
ご隠居 うん。さらに江戸時代の漢学者が、元々あった「晃」という字を日光の意味に当てはめて、二荒山を晃山と書いて「こうざん」と中国風に読ませたりもしてるんだ。
咲 そこまでいくと「どんだけ~」って感じだね。
ご隠居 お咲ちゃん、そりゃ、二荒山(にこうさん)じゃなくて美容家のIKKOさんだよ。

(文=前田安正、監修=笹原宏之早大教授、イラスト=わけ みずえ)

 

漢字んな話3刷 2009年4月11日の記事を基に再構成しました。この記事は2015年10月8日まで掲載します。

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熊(くま)
(くま)
咲(さき)
(さき)。熊の娘
ご隠居
ご隠居。咲の名付け親

「漢字んな話」は朝日新聞夕刊(一部地域)で2007年4月~2011年3月に連載していたコーナーです。2年分の連載をまとめた「漢字んな話」(四六判224ページ、税込み1575円)が三省堂から発売中!