(4月15日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 普段何げなく使っている言葉の中に、おやっと思う漢字が使われていることがあります。

 例えば「責任転嫁」。「自分の過ちや責任を他人になすりつける」という意味の言葉に、なぜ「嫁=よめ・とつぐ」という漢字が使われているのでしょう。

 実は、「嫁」にはこの他にも「かずける」という意味があります。「かずける」は「被(かず)ける」という字を当てて、「責任や罪などを押しつける」ことを言います。「嫁」は「被」と同義の関係にあるのです。「転嫁」は「嫁を転がすこと」ではないのです。

 カルチャーセンターでこの話をしたときに、秋田県出身の方から「かずけるは、方言として使っていたが、これに漢字があるとは知らなかった」という話を聞きました。ある調査によると、北関東、東北を中心に、静岡、愛知などでもこうした意味で「かずける」が使われていました。一般的に使われなくなった言葉の意味が、方言の中に息づいているのです。