(3月1日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 入試シーズンは、学校名に付く「付属」という言葉を紙面で見る機会が増えます。一方、街なかでは「附属」との表記も見ます。筆者は「附属」校出身の友人へのメールに「付属」と書いて「間違っている」と言われたことがあります。どう違うのでしょう。

 「付」と「附」はもともと別の字です。漢和辞典では「附」は「つく・つける」で「附加」などを挙げています。「付」は「給付」など「さずける・託する」の意味。ですが、その後に「つける。附に通ず」として中国での古い例が出ています。昔から混用されていたわけです。

 終戦後の1946年、使う漢字の範囲として「当用漢字表」を決める時、この二つのうち、「付」だけにして「附」は外す考えもありました。しかし、日本国憲法の条文に「附する」があり、憲法にある字は全部入れる方針から両方が入りました。

 その後「この字もないと不便だ」といった要望が出て、54年、「補正資料」が作られました。28字削って同数を加え、総数1850字のまま調整しようとしたもので、「附」は削られる方の候補に入っていました。