(3月7日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 昨年12月、将棋の羽生善治棋聖が竜王戦で勝利し、七つ目の永世称号を手にしたことが話題になりました。

 「永世」とは永久という意味ですが、考えてみるとよく使われるのは「永世中立国」という言葉ぐらいで、特に優れた功績を挙げた人を「永世○○」という称号でたたえるのはあまり耳にしません。

 将棋の初めての永世称号は名人位でした。かつて名人は江戸幕府に認められたものが名乗る終身制の称号でした。今のような実力制になったのは十三世関根金次郎が名人位を返上し、リーグ戦を勝ち抜いた木村義雄が1938年に名人の称号を受け継いでからです。52年に名人位を通算8期保持して引退した木村に、初めて永世名人の称号が与えられました。終身制の名人に連なるものという意味です。