(4月11日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 刑法の罪名「強姦(ごうかん)罪」が「強制性交等罪」に変わったことが、昨年話題になりました。六法全書を見ると、ほかにも以前とは随分文言が変わっているものがあります。たとえば賭博の罪。40年近く前、法律を学んでいた私が学生だったころは、こんな条文でした。

 「偶然ノ輸贏ニ関シ財物ヲ以(もっ)テ博戯又(また)ハ賭事ヲ為(な)シタル者ハ……」

 輸贏って何? 正しくは「しゅえい」ですが、慣用読みの「ゆえい」と習いました。「輸」は負け、「贏」は勝ちの意味で「勝ち負け」のことです。

 いまの条文では「賭博をした者は……」。なぁんだです。1995年に文語から口語への刑法の大改正があり、誣告(ぶこく)罪→虚偽告訴の罪、贓物(ぞうぶつ)罪→盗品等関与罪、などと共にやさしくなりました。

坂井 則之(さかい・のりゆき)

安保の年、静岡県生まれ。高校で しりあがり寿 画伯の3年後輩なのがちょっと自慢。国会図書館に4年勤務の後に校閲部員として入社。他の仕事もしましたが、基本はずっと紙面と世の中の言葉を見てます。特技は、絶対音感と、円周率を小数点以下35桁までそらで言えること。