(8月1日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 今春の選抜高校野球から、投手のけが防止のために甲子園大会で導入されたタイブレーク。延長十三回からは走者を置いて攻撃を始めます。今夏は全国で最初に開幕した沖縄大会の初日に、さっそくこの新ルールが適用された試合がありました。

 タイブレークは英語で「tie=同点」と「break=壊す」からできた言葉です。日本でもスポーツなどで「2位タイ」のような用法が定着していますが、「tie」は本来「結ぶ、縛る」の意味です。同じ音階の音符を結ぶ記号の「タイ」や、ネクタイのタイも同じつづりです。東京外国語大の浦田和幸教授(英語学)は「意味が派生する過程は目に見えず複雑だが、一つの考え方として『ルミナス英和辞典』は『結ぶ→(結び付き)→(対等の結び付き)』から同点の意味が生じた、と説明している」といいます。

 タイブレークはもともとテニスの試合時間短縮のために考案されました。ウィンブルドン選手権では1971年から導入されています。ただし現在でも最終セットでは行われないため、2010年の男子シングルスで足かけ3日、計11時間の最長試合がありました。勝ったジョン・イスナー選手(米)は、今年の同選手権でも史上2位となる6時間半の試合を戦い、惜敗。試合後に「ルールを変える必要がある」と語り、最終セットにも導入するよう求めました。