(3月27日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「なぜ新聞はいちいち、高齢者に『無職』とつけるのかね。事件や事故に関わり新聞に名前が出たら、自分も『無職』と書かれるんだろうな」。60代の知人が言いました。早期退職を選び自由になったものの、世間的には「無職」。何かしら「居心地が悪い」とぼやくのです。

 「氏名」「住所」「年齢」「職業」は、社会面の記事や投稿欄などの要になる個人情報です。特に「職業明記」は早くから投稿要項にもあり、戦後すぐの投稿欄には「失業者」「復員軍人」といった言葉にまじり、「無職」が登場します。

 ただ、大阪本社版の「声」欄には「定年退職したとたん、無職という扱いになるのは、なんだか違うのではと思いました。新聞に目を通す度に、少し申し訳ない気持ちになります」(21歳学生)、「先が無い、夢が無いというイメージの無職には抵抗がある。夢職はいかが」(89歳女性)という意見もいただいています。広辞苑は「無職」の用例に「住所不定、無職」を挙げています。