「ユニバーサルデザイン」(UD)という言葉を聞いたことはありますか? ユニバーサルは「普遍的な、全体の」という意味。UDは年齢や能力にかかわらず、全ての人に対して使いやすい機能・デザインを備えたもののことで、1980年代に米国の建築家ロナルド・メイス氏らが提唱しました。①誰でも使いこなせる②使う上で自由度が高い③使い方がわかりやすい④必要な情報がすぐに理解できる⑤ミスが危険につながらない⑥長時間使っても体への負担が少ない⑦体格・姿勢などと関係なく使える大きさ・広さがある――の7原則があります。

 一口に「全ての人」と言っても、加齢、ハンディの有無など不便を感じることが多いと想定されるケースは様々。可能な限り誰にでも使いやすくできるデザインのために企業や自治体が知恵を絞っており、日本はUDの分野で世界トップ水準にあると言われるようになっています。無理のない姿勢で使えるようにドラムを斜めにした全自動洗濯機、床面を低くして高齢者でも乗りやすくしたノンステップバスなど、UDを意識した物は生活にすでに溶け込んでいます。

■標識や印刷物にもユニバーサルデザイン


 「誰にでも使いやすく」――この視点は、モノだけでなくポスターや標識、新聞といった印刷物にも欠かせません。

 下のデザインは和歌山県海南市の海抜表示板です。わかりやすくするための工夫が各所に凝らされています。

 まず「海抜」の文字の上に「うみからのたかさ」と入れ、「海抜」の意味がまだわからない子ども、日本語初心者にも理解できるようにしています。その下には「Above Sea Level」と英語でも表示しました。これで英語圏の外国人にはわかりやすいですね。また波のイラスト(ピクトグラム)を入れることで、何を表しているか一目でわかるようにしました。現在地である3メートルの位置を、線で表すのでなく赤で塗りつぶしているのは、遠くから見てもすぐわかるようにする工夫です。

梶田 育代(かじた・いくよ)

2001年大阪校閲部入社、鳥取総局、朝日学生新聞社などを経て現在、東京校閲センター。学生の頃はスポーツ新聞部に所属。野球、ハンドボール、バスケットのスコアがつけられる。大阪出身のためお笑いが大好き。東京在住の今でも、年末の「楽屋ニュース」だけは見ないと年が越せない。