聴覚障害者の職域拡大につながるニュースがありました。警察庁が先月22日、バスやタクシーを運転できる「二種免許」を聴覚障害者が取得できるよう、道路交通法施行規則の改正案をまとめたのです(10月23日付朝日新聞)。現在は、補聴器を使わずに10メートル離れた場所で90デシベルのクラクションが聞こえることが免許をとる条件の一つですが、補聴器をつけて聞こえれば条件を満たしたことになります。

 これまでも大型、中型、普通、大型特殊免許は同じ条件で取得できましたが、二種免許にも広がるかたちです。施行は来年4月1日の予定で、警察庁は今月21日まで意見を募集しています。

 聴覚障害者の運転免許は、少しずつ取得のハードルが下がってきました。2008年6月、重度の聴覚障害者(補聴器をつけても10メートル先の90デシベルのクラクションが聞こえない人)は、①視野の広い大型バックミラーを備える②聴覚障害者標識(マーク)を表示する、などすれば普通乗用車の免許が取れるようになりました。チョウに見えるデザインの聴覚障害者マークが導入されたのはこのときです。12年4月には、こうした条件なしでオートバイやミニバイクの免許取得が認められました。

 今回の改正にあたり、警察庁は2013年度から路肩への駐車や誘導による後進といった実証実験を行い、補聴器をつけた運転でも安全性に問題がないことを確認したといいます。

■2001年にようやく一部見直し

 障害者の仕事には、これまでもさまざまな壁がありました。中でも、法制度によって障害者を社会参加から締め出してきたのが「欠格条項」です。

 医師法などにはもともと、「未成年者、成年被後見人、被保佐人、目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない」という記述がありました。しかし、たとえば聴覚障害者は、手話通訳などの補助があれば医療行為ができる可能性があります。にもかかわらず、障害を理由に、医師になることを「門前払い」されてきたのです。

森本 類(もりもと・るい)

1986年生まれ、東京都出身。2009年入社、東京本社校閲センター。大学ではクラシックギターのサークルに所属。「校閲のギャンブル担当」を自称するが、馬券の神には見放されている。好きな馬はグラスワンダー。