今回は、校閲センターの取り組みを紹介したいと思います。「ことばマガジン」トップページの案内で、校閲センターの仕事を簡単に紹介しているとおり、誤字脱字などのチェック、事実関係の正誤、そして人を傷つける表現になっていないか目を配る、この三つが大きな仕事です。本コーナーでは、三つ目の「人権」をテーマに、校閲記者が人権について考えていることや出あった記事、事件などを取り上げています。

■締め切り時間に追われながらも


 他の出版物の校閲作業とのいちばんの違いとして挙げられるのは、締め切り時間の早さではないでしょうか。日々の新聞の製作作業では、ニュースが次々と舞い込み、しかも刻々とデータが変わっていきます。版によって設定されている締め切り時間が近づくにつれ、取材記者が最新のデータを加えようとし、校閲センターでもその都度、そのデータが正確か、関連した見出しが正しいか、行数が増えたことで紙面の組み方がおかしくなっていないか、目を皿のようにして点検しています。その日の仕事が終わってみれば、最終版の紙面が早版とは似ても似つかぬものになっている、ということもよくあります。

 こうした作業の中で、校閲センター員として求められるのが、ある種の「反射神経」です。締め切り間際での追加・修正で、誤字脱字があれば即座に反応して、編集作業をしているフロアを文字どおり走ることがあります。

 人権に関することでも同じことが言えます。本来なら、どうしてこの言葉を使うのか、どうしてこの言葉が人を傷つけるのか、これまでの経緯や問題とされたケース、当事者たちの思いなどをじっくり考えて対応するべきなのですが、かかり切りになっていると次々と記事が出稿されてあっという間に締め切り時間になってしまいます。そのため、指摘するこちら側も不十分、指摘を受ける側も十分な理解と納得がないままに表現を「とりあえず」変えてしまうことがあります。

石橋 昌也(いしばし・まさや)

和歌山県出身。2004年入社、東京本社校閲部。さいたま総局、大阪本社校閲センターを経て現在は東京本社校閲センター。趣味の読書は、読んだ端からわすれていって、同じ本を複数買って途方にくれます。