すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する――1948年に国連で採択された「世界人権宣言」の一節です。人権問題は各国の国内問題と考えられていたのを、国際社会全体で考えるべき問題であり、人権の保障が世界平和の基礎であるという考えを示す画期的なものでした。採択された12月10日は世界人権デーとされ、世界各地でデモなどの啓発活動が行われます。


 世界を巻き込んだ大戦が2度も起こり、人権侵害、抑圧が横行した20世紀。第2次世界大戦の終戦からわずか3年後に採択された人権宣言は今でも重要な意義を持ち続けています。

■時代によって変わる人権問題


 日本では49年から12月4~10日を「人権週間」と定めています。期間中は世界人権宣言の趣旨や重要性を広く訴えかけるため、法務省や自治体、人権啓発活動をしている団体などが協力し、全国各地でシンポジウムや映画会などを開催します。法務省では「強調事項」として、なくすために力を入れるべき人権問題を年度ごとに掲げています(当該ページはこちら)。2015年度は「女性の人権を守ろう」「高齢者を大切にする心を育てよう」などの17項目。「東日本大震災に起因する偏見や差別をなくそう」「インターネットを悪用した人権侵害をなくそう」といった項目もあり、時代によって変わる日本の人権問題を表しています。

 法務省の人権擁護機関では、「人権を侵害された」という被害者からの相談を窓口や電話、インターネットで受け付けています。必要に応じて職員や、ボランティアの人権擁護委員が調査を行い、救済手続きを取ることになっています。同省の発表によると、昨年1年間に救済手続きを始めた人権侵犯事件の数は2万1718件。前年と比べると少し減っていますが、04年以降は11年連続で2万件を超えています。項目別で見ると、インターネットによるものが前の年より5割も増えています。匿名性の高い掲示板や動画投稿サイトなどで行われており、統計を取り始めた01年以降最多となりました。差別待遇についての人権侵犯事件も前年に比べ4割近く増えました。精神障害を理由にスポーツクラブへの入会を拒否されたことや、同和地区出身であることによる結婚差別などの申告が寄せられており、理解不足や差別が残っていることがわかります。

梶田 育代(かじた・いくよ)

2001年大阪校閲部入社、鳥取総局、朝日学生新聞社などを経て現在、東京校閲センター。学生の頃はスポーツ新聞部に所属。野球、ハンドボール、バスケットのスコアがつけられる。大阪出身のためお笑いが大好き。東京在住の今でも、年末の「楽屋ニュース」だけは見ないと年が越せない。