ことし9月、日本遺伝学会が遺伝学用語を改訂し、用語集としてまとめたものを発売しました。約10年をかけて検討してきたという改訂の主眼は、誤解・偏見・差別につながりかねない用語を改めたり、分かりにくい用語を易しくしたりすることです。

 大きな変更としては、メンデルの遺伝学の訳語として使われていた「優性」「劣性」を「顕性」「潜性」としたことが挙げられます。本来は遺伝子の特徴の「現れやすさ(現れにくさ)」を示すだけの言葉ですが、語感から「優れている」「劣っている」という印象を与えたり、受け取ったりしがちです。特に「劣性遺伝病」と診断された場合、必要以上に深刻に受け取ってしまう患者さんもいるようです。同学会も「疾患を対象とした臨床遺伝の分野では『劣性』遺伝のもつマイナスイメージは深刻でさえある」と問題視しています。

中原 光一(なかはら・こういち)

1972年生まれ、大阪府出身。98年入社。校閲だけでなく、高松総局で出稿記者を2年弱、大阪編集センターで紙面編集を約3年経験。また教育総合本部でも2年勤務。クラシックからアイドルまで音楽なら何でも大好物。