咲

 ご隠居さま、親を切るって書いて「親切」でしょ。なんだか言葉の意味と漢字の使い方がちぐはぐだよね。

ご隠居

 ああ、そう見てみると、面白い言葉だね。

咲

 「切」って、数字の「七」と「刀」だよね。「きる」だから刀は何となく分かるけど、どうして七がついてるんだろう。

写真・図版

七 甲骨文

ご隠居

 ほー、勉強してきたね。七は、切の「せつ」って音の元になってるんだな。

咲

 うーん……、でも七って数字だよ。「きる」とは関係ないんじゃないの。

ご隠居

 そうだね。七は音を表すだけじゃなくてね。もともと切られた骨の形を表したものらしいんだな。

前田 安正(まえだ・やすまさ)

前東京本社編成局校閲センター長、現在は朝日新聞メディアプロダクション校閲事業部長。1955年、福岡県生まれ。早稲田大学卒業、82年入社。2005年1月、東アジアの漢字事情をリポートした「アジアズームイン漢字圏」、07年1月、IT時代の漢字をテーマにした「漢字とつきあう」などを担当。13~16年、夕刊に「漢話字典」を連載。