五輪などスポーツの国際大会では、国名・地域名を3文字で表す略字コードがよく使われます。日本(Japan)は子音を並べて「JPN」。カナダ(Canada)は書き出しの文字から「CAN」。アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)は単語の頭文字をとって「UAE」です。
 では、「AUS」と表記されるのはオーストラリア(Australia)、それともオーストリア(Austria)? これは最もまぎらわしい例の一つです。「AUS」はオーストラリアを表します。オーストリアは「AUT」です。ポルトガル(Portugal=POR)をポーランド(Poland=POL)と勘ちがいすることも。これらは日本語の音でも似ています。
 リオ・パラリンピックでは、イスラエルをアイスランドとまちがえそうになりました。イスラエルは「Israel」と綴り、3文字で表すと「ISR」、アイスランドは「Iceland」で「ISL」となるのです。日本語では似ていなくても、注意が必要です。

「人造湖」ではない「ダム」

 大きな被害をもたらした2011年の紀伊半島の大水害。発生から5年、岩盤ごと斜面が崩れる「深層崩壊」が起きた地域などで復旧工事が続いています。工事を伝える記事で、「土砂ダムの建設」が続くという表現がありました。「土砂ダム」とは、山崩れや土石流などによって土砂が流れ込み、河川をせき止める状態のことをいいます。せき止められた上流側に水がたまって、あたかも池や湖のようになるので「ダム」といわれるのですが、人が造るものではありません。
 土石流の被害防止のために造られるのは「砂防ダム」。どちらも「ダム」ですが、意味がまったく違います。
 ところで、この「土砂ダム」。04年の新潟県中越地震で、地滑りにより土砂が川をせき止めたとき、当初は「天然ダム」と表記されていました。国土交通省によると、「天然ダム」とは学術用語で、同省でも発生当初から使っていました。一方で、「天然」という言葉には「美しい貴重なもの」というプラスイメージがあり、被災の惨状が伝わりにくいという声もありました。そこで同省は、やはり学術用語である「河道閉塞(かどうへいそく)」と呼ぶようにし、関係機関にも求めました。しかし、いかにも難しい言葉なので、朝日新聞では社内で協議した結果、「土砂ダム」と表記するようにしたという経緯があります。