パ・リーグの日本ハムが、10年ぶり3度目の日本一を決めた今年のプロ野球日本シリーズ。対戦相手はセ・リーグの広島で、レギュラーシーズンでリーグ優勝したチーム同士の顔合わせとなりました。特に広島は25年ぶりの優勝。セ・パ12球団の中で最も優勝から遠ざかっていたとあって、ファンの喜びもひとしお。地元・広島を中心とする熱狂ぶりは紙面でも何度か取り上げられました。

 さて、そんな広島が首位を独走していたレギュラーシーズンのさなか、首都圏の広島ファンたちの声を集めた記事の冒頭に、こんな表現がありました。

 「広島は25年間もリーグ優勝を逃してきた」

 確かに前回優勝は1991年で25年前ですが、「優勝しなかった年」を数えるなら、翌92年から2015年までの「24年間」になります。「25年間優勝を逃してきた」とすると、今年も優勝を逃したことになってしまうため、「前回優勝は25年前」という書き方に直してもらいました。

 スポーツ記事では、「ここ○戦負けなし」「○試合ぶりの出場」といった表現がしばしば出てきます。時間の許す限り、落ち着いて一つ一つ数えるのが校閲記者にとっては、肝心です。

日ハム、二刀流ならではの……

 一方の日本ハムは、首位から最大11・5ゲーム引き離されながら、夏以降に追い上げての逆転優勝でした。この猛スパートを語るのに、大谷翔平選手の活躍は外せません。優勝を決めた試合では投手として先発し、相手打線を1安打に抑え完封しました。

 その試合を伝える記事の中で、大谷選手の今シーズンの成績を振り返る部分がありました。その日までの安打数が「88」とされていたのですが、日本野球機構のサイトなどで調べると「104」。全く違う数字です。出稿した部署に問い合わせると、88は「被安打数」、つまり投手として相手に打たれた安打の数だったことがわかりました。

 投手が打席に立つ回数は野手に比べると少ないので、投手であれば打った安打の数よりも打たれた数の方がはるかに多くなるのが普通です。もちろん野手ならば被安打数は0のはず。調べなくても間違っていることがわかるくらい大きな差があり、取り違えが起こることはまずありません。

 しかし、それを起こしてしまうのが大谷選手の「二刀流」。「今年は打者としての活躍が目立った」と記事では書かれていましたが、被安打数が安打数に近いのは、それだけ投げもした証しです。校閲の現場にとっても「規格外」の選手といえそうです。