その市町村はいまもある?

 1946年12月21日に発生した昭和南海地震は、和歌山県潮岬沖約50キロの海底を震源とし、関東から九州にいたるまで津波が押し寄せました。死者・行方不明者が25府県で1443人にものぼる惨事でした。
 70年前の地震を振り返る記事で使われた写真の説明に、
 「昭和南海地震で被害を受けた高知県須崎市の様子=市提供」
とありました。
 撮影場所は現在の須崎市なのですが、1町4村による市制の施行は54年。撮影時は市ではありません。原稿を書いた部署に問い合わせると、撮影地を書かず
 「昭和南海地震では家屋が流されるなど大きな被害が出た=高知県須崎市提供」
となりました。
 
 1889年の市制町村制施行で1万5859の市町村が設置されました。太平洋戦争後、行政事務の能率的な処理のために自治体の規模の合理化が必要とされ、1953年から「昭和の大合併」が行われました。
 90年代後半からの「平成の合併」ではさらに進められました。こうした合併期よりも前のことを記事にする場合には注意が必要です。
 今回は写真説明の表現が変わりましたが、撮影地がわかれば「吾桑村(現在の須崎市)」「須崎市(当時は吾桑村)」のように補足することもあります。
 
 合併によって、市町村の範囲も変わります。
 今年の1月14日。近畿地方は寒波に見舞われ、積雪を観測した地点もありました。
 この日の大阪本社版の夕刊で、滋賀県長浜市の積雪が38センチとなっていました。気象庁のサイトで調べると、「長浜」では積雪が観測されていません。積雪があったのは「柳ケ瀬」でした。観測地点の余呉町柳ケ瀬は2010年に長浜市に編入されています。一方、以前から長浜市にも観測地点があります。
 紙面では「長浜市の余呉町柳ケ瀬38センチ」となりました。

 訂正にはつながらないまでも、わかりやすさと正確さのために、市町村の合併や名称変更には注意を払っています。

借入金は2度訂正されていた!

 2016年夏の参院選で当選した議員の資産公開の記事のことです。ある議員の13年の資産に「貸付金・借入金ともに2億5千万円」とありました。確かに当時の記事では2億5千万円となっています。
 しかし、その後の記事を調べていくと、借入金が14年に2度訂正されていることがわかり、最終的には6億5500万円になっていました。
 「13年に報告した」時点での資産としては誤りではありませんが、最新の情報を盛り込んだ方がいいのではと問い合わせたところ、「貸付金が2億5千万円、借入金が6億5500万円」となりました。
 
 続報でデータが更新されることはよくあります。初報だけではなく、その後の流れを丁寧に追うことが大切です。