野球の世界大会、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕しました。王座奪還を目指す日本代表「侍ジャパン」の活躍が期待されるところで、本紙でもたびたび展望記事などを掲載しています。そんな中、「前回大会の優勝国ドミニカ」という言葉が出てきました。

 この「ドミニカ」。校閲の現場では要注意の国名です。なぜでしょう? 似た名前の国が二つあるからです。外務省のウェブサイトで「中南米」のページを開くと、「ドミニカ国」と「ドミニカ共和国」という2国が並んで書かれています。

 「ドミニカ国」は英語で「Commonwealth of Dominica」。奄美大島と同じくらいの大きさのドミニカ島が領土で、人口約7万人の旧英領の島国です。温暖なカリブ海にありウィンタースポーツは盛んではありませんが、2014年のソチ冬季五輪に初めて代表選手を派遣し話題になりました。

 一方の「ドミニカ共和国」は英語で「Dominican Republic」。中米でキューバに次いで大きい島・イスパニョーラ島の東側を占め、面積は九州の1.3倍程度。米国の占領下に置かれた歴史があり、野球の人気が高い国です。大リーグのスター選手も数々輩出しているほか、広島カープが育成組織を置いていることが知られています。

 というわけで、WBCで優勝した「ドミニカ」はドミニカ共和国の方。朝日新聞の紙面では、単に「ドミニカ」と書いた場合はドミニカ国を指すという取り決めがあるため、このままでは間違いとなります。きちんと「共和国」まで書いてもらいました。

 アフリカには「コンゴ共和国」と「コンゴ民主共和国」があります。この2国は隣り合っており、両国の首都ブラザビル(コンゴ共和国)とキンシャサ(コンゴ民主共和国)は大河コンゴ川をはさんだ対岸にあります。キンシャサは昨年亡くなった名ボクサー、モハメド・アリが王座返り咲きを果たした試合「キンシャサの奇跡」で有名です。

 この2国についても以前、コンゴ共和国から来日した人を取り上げる記事にコンゴ民主共和国の説明が書かれていたため、その部分を削ってもらったことがあります。ややこしいことに「民主共和国」の方も以前「コンゴ共和国」という名前だった時期があり、昔の話が記事になると調べるのも大変です。

 ドミニカ共和国は今回のWBCにも出場。お互い順調に勝ち上がれば、準決勝以上で日本と対戦する可能性があります。コンゴも……もとい、今後も要注意の国名です。

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