写真・図版

1953(昭和28)年6月3日付朝日新聞東京本社版朝刊3面。主な直しだけ朱を書き入れています。現在の朝日新聞の表記基準で認めていない漢字の音訓や、当時は入れていなかった句点を入れる等については、原則として記入を省いています。記事を文字起こしした【当時の記事】が【解説】の後ろにあります

【解説】


 先月9日、英国のエリザベス女王が歴代最長の英国王となりました。在位期間が最長だったビクトリア女王(1819~1901)の63年と216日を上回ったのです。今回は、約60年前、エリザベス女王戴冠式(たいかんしき)前後の様子を伝える1953(昭和28)年6月3日付の紙面を見てみましょう。英国民の熱狂ぶりが伝わってきます。

 父ジョージ6世の死去に伴い、52年2月、エリザベス女王は即位しました。当時25歳。戴冠式があったのは即位から1年4カ月後、初夏のロンドン・ウェストミンスター寺院でした。寺院付近は「行列の18時間も前の(6月)1日夕方にはツメを立てる余地もない満員となっていた」と、式当日(2日付)の紙面は待ちわびるロンドン市民の様子を伝えています。

写真・図版

戴冠式を待ちわびるロンドン市民の様子を伝える紙面=1953(昭和28)年6月2日付東京本社版夕刊3面

 冒頭で紹介した3日付の記事に、英BBCが沿道に100台以上のカメラを置いたとありますが、式前後の模様は日本を含め45カ国語で放送されたそうです。式の前の日の朝日新聞ラジオ欄を見ると、沿道100カ所にアナウンサー席がつくられ、マイクは800個、技術者はロンドンだけでは足りず、全英から200人動員したと紹介されていました。

 それでは今回の紙面を現代の目線で校閲してみます。6月初め、雨が降る中での式典だったようです。この日の気温は「華氏四十四、五度」。今の新聞では、気温はセ氏で表記しています。セ氏だと、6~7度ですので、そう直してもらいましょう。いずれにしても6月としてはかなり肌寒い気候です。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください