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1934(昭和9)年4月9日付東京朝日夕刊2面。主な直しだけ朱を書き入れています。現在の朝日新聞の表記基準で認めていない漢字の音訓や、当時は入れていなかった句点を入れる等については、原則として記入を省いています。記事を文字起こしした【当時の記事】が【解説】の後ろにあります

【解説】

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上野公園では今年も大勢の人が満開の桜を楽しんでいた=4月1日、山村隆雄撮影

 今年も桜の季節がやってきました。東京では3月31日に満開になり、桜前線は東北地方を北上しています。もう花見を楽しまれた方も多いのではないでしょうか。

 今回は1934(昭和9)年4月9日付夕刊2面(発行は8日)の、東京で桜が咲いた直後の記事をご紹介します。現在の校閲記者の視点から点検しながら読んでみましょう。

 まず見出しの「花見第一日」。気象庁の「東京の桜(ソメイヨシノ)の開花日と満開日」を見ると、この年は4月7日に東京で桜(ソメイヨシノ)が開花しています。8日はその翌日の日曜日。当時は土曜日も会社などは休みではなかったでしょうから、8日が初めてゆっくり花見ができる日だったのですね。

 今年は3月19日に全国に先駆けて名古屋や福岡で開花しました。東京は21日。東京の開花が4月7日というのは遅いように見えますが、先述の気象庁の資料を見ると、当時は開花が4月になるのも珍しくなかったようです。

 東京の開花日は早まる傾向にあり、89年以降は3月中に開花しています。都市化が進んだことによる気温上昇などが影響しているのでしょうか。ちなみに記録を取り始めた53年以降で、最も早かったのは2002年と13年の3月16日。最も遅かったのは1984年の4月11日でした。

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

山村 隆雄(やまむら・たかお)

1968年生まれ、千葉県出身。91年入社、名古屋本社校閲部。以来東京、福岡、大阪と異動しつつ校閲の仕事を続ける。2008年から東京本社校閲センター次長。高校、大学で柔道部。プライベートでは犬を猫かわいがりしている。